3色の漆から選んでお皿を自分で仕上げる。初めての拭き漆ワークショップ
“育てる道具”という言葉に惹かれます。買った時が最高!ではなくて、使うほどに良くなり、生活に馴染むものをずっと使い続けたいと思います。
革や真鍮など、育てる道具の素材にもいろいろある中で、なんといっても漆が気になります。
“拭き漆”の器と言われても、あまり馴染みがないと思いますが、私たちが漆の器と言われて最初に想像する”塗り物”の器と比べて、ずっとカジュアルで、実は自分でも作れてしまうんです。
自分で仕上げることの良さはなんといっても、のちのち自分でお手入れができることにつながっていることです。
とはいえ、漆はかぶれやすく、一人でやるにはなかなかハードルがあると思いますから、先生に習いながら、初心者同志で集まって、みんなでわいわい漆に触れてみましょう。
てならい堂でも人気の“金継ぎ”も主役は漆です。今回の拭き漆では塗料として使われますが、金継ぎでは接着剤としての役割も果たす漆は、それでいて100%天然素材。すごいぞ漆。
既に金継ぎに取り組んでいる方も、これから習おう思ってる方も、漆の扱いに慣れておくことは一石二鳥。漆がある暮らしは私たちの今後の生活に、一段上の豊かさをもたらしてくれるかもしれません。
会場は神楽坂のひみつの小店にて、二回連続コースです。
漆は100%天然のものでありながら、道具の硬さや防水性を増し、木の器はもちろん、家具や家などを長持ちさせるための塗料として、古来から日本で使われてきました。
一般的な“塗り物”と言われる器は、何度も何度も漆を厚く塗り重ねることで、丈夫さとツヤを出していきますが、拭き漆は、一度塗った漆を拭き取って、木に浸透させながら何度も塗り重ねていく技法です。拭き取るので薄く仕上がり、元の木目がそのまま活かされ、木地の風合いを楽しむことができます。
漆の技法は、それぞれに長所があり、つまりは用途によって使い分けられます。(もちろん、他にも色んな技法があるわけですけども。)
てならい堂が“拭き漆”をいいなと思うポイントは、そのカジュアルさ。重すぎず、気軽な感じで、けれども天然塗料としての実力を存分に発揮してくれます。
木の塗料として一般的なのはウレタン塗装でしょう。ウレタンは平たくいえばプラスチックの一種です。せっかく木の器なのに、表面はプラスチックかーと思わなくもない。てならい堂は、自然素材原理主義ではありませんが、できるならば、自然のものを選びたいと思います。理由はそれだけでも十分じゃないでしょうか。
それに、使いごちの良さ、特に口当たりの良さはやはり漆の仕上げにはかなわないですしね。
そんな拭き漆を自分でやってみよう、というのが今回のワークショップです。塗ってみるのは直径15cmほどのお皿1枚。ちょうど取り皿などに使いやすいサイズかと思います。
塗って拭き取って、乾かしてまた塗って、という繰り返しですので、一日では完成しません。4〜5回くらいを目安に塗り重ねると十分な強度になるはずです。今回はその1回目と2回目を2回連続コースのワークショップとして実施し、3回目以降は持ち帰って自宅で続けてもらいます。
3回目以降は同じ作業の繰り返し。とは言っても、これでいいのかなと思うことはあると思いますので、メールにて質問を受け付けます。
自宅で3回目以降をやっていただくのに、必要な道具一式をお渡ししますので、残った漆で箸やスプーンなど、拭き漆のアイテムをどんどん増やすこともできますね。
教えてくれるのは、てならい堂の金継ぎ教室も担当してくれている梅澤瑠美子さん。まだ若いのに漆への深い愛情を持つ、漆作家さんです。
ちなみに今回の拭き漆は漆の塗料としての機能ですが、金継ぎでは接着剤としての機能も使われます。いやー深いです、漆。
学生時代から漆を扱ってきた梅澤さんに、漆のこと、それから金継ぎのことでも、いろいろと聞いて、漆に触る意味を感じてみてください。
拭き漆を自分でできるようになる。これは、なかなかできない体験かもしれません。ひとりでやると漆かぶれも心配ですしね。(かぶれについては、参加の注意をよーくご確認ください。)
そしてそして、このワークショップのポイントは、今後のお手入れが自分でできるようになる、とういことではないでしょうか。
塗り物の器に比べてカジュアルな分、毎日使って洗っていると、薄い塗膜が徐々に剥がれていくはずです。けれど、そもそも自分で塗った漆ですから、いつでも自分で塗りなおすことができますよね。これってとても大切なことだと思います。
道具を長く使い続けようとするときに、良い道具を手に入れることはもちろんですが、長く使うための知識や技術も必要となりますよね。拭き漆を身につけることで、道具の“育て上手”になること間違いなしです。
初めての拭き漆体験、人数限定での実施です。あなたもいかがですか。
前回のワークショップの様子はこちら。
【てならい後記】漆のお皿を自分で仕上げる。はじめての拭き漆:1回目
【てならい後記】漆のお皿を自分で仕上げる。はじめての拭き漆:2回目
【てならい後記】漆のお皿を自分で仕上げる。はじめての拭き漆:10月
【てならい後記】3色の漆から選んでお皿を自分で仕上げる。初めての拭き漆:1月