こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。

ほんの少し、暑さが和らいだ日。とは言っても、じわりと汗ばむ7月期の「深める金継ぎ(割れ編&欠け編)と深みにハマる蒔絵教室-22年7月期」始まりました。

引き続き通ってくださる生徒さんにもご報告♪

引き続き通ってくださる生徒さんにもご報告♪

初めてご参加いただく方、継続いただく方のご参加理由やご経験を伺いながら、皆さんそれぞれの目標に向けて全7回の教室で知識と技術を生活に取り入れられるように、私も一緒に応援したい気持ちになりました。

最初に行庵先生から、金継ぎの全体的な説明と、強度・作業の難易度をご説明いただきながら、持参された器はどんな修復をこれからしていくのか、ヒビの入り方やどんな釉薬がかかっているかなどチェックしていきます。

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例えば「フラットに近い皿ほど強度が出にくく、深さがある器は強度が出やすい。」、「磁器は作業がしやすいが強度が低い。陶器は漆を吸いやすいので作業の難易度が高いが強度は出やすい。」、「萩焼や信楽焼などは貫入があって毛細管現象で漆が入りやすい。」など、作業に入る前段階で個々の器で難易度が異なる理由を教えていただきました。

金継ぎをした後の器の強度は、日常使いをする上でとても大事ですよね。金継ぎをすることが目的なのではなく、使い続けるための“金継ぎ”であれば、この理解を深めておくことはとても重要なこと。

【割れ編の工程】麦漆作りと接着

割れ編の山場とも言える、「麦漆作り」の作業をしていきます。薄力粉に水を加え耳たぶくらいの固さになるように練っていきます。

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輪島地の細かい粒子にした四辺地を使うのが行庵教室の特徴。

強度が出て、麦漆の乾きも早くなる。通常1週間ほど待つのが普通だけれど、3日位で乾くのだそう。この四辺地砥粉水練りし、生漆を混ぜてペースト状にします。

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その後、練っておいた小麦粉の水練りを一緒に加えて混ぜ合わせます。この作業では、分離していないか確認しながら進めます。なぜ分離するか?それは小麦粉がちゃんと練れていない状態だとグルテンが形成できておらず、油と水の状態になってしまうから。。

次に、作った麦漆を割れの断面に薄く全体に塗って、再度伸ばすように塗り重ねて接着強度を上げます。

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マスキングテープで隙間を開けながら貼り合わせた器を補強していきます。

マスキングテープで隙間を開けながら貼り合わせた器を補強していきます。

重力でズレやすいのでしっかりと留めましょう。

盛大に割れた器に挑戦する生徒さん。その破片の多さにご自分でビックリする場面も…!

盛大に割れた器に挑戦する生徒さん。その破片の多さにご自分でビックリする場面も…!

ヒビに沿ってルーターで削って漆が食いつきやすくするためにホゾを切るという作業します。

先端が球体のルーターを使って溝をほる作業。

先端が球体のルーターを使って溝をほる作業。

貼り付ける時の注意点は割れた破片の「抜け勾配」を意識すること。竹クシを滑らせながら、段差がないように貼り合わせていきます。

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悪戦苦闘しながら、貼り合わせが無事終了。

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【欠け編の工程】こくそ漆を作り、欠けを成形する

まずは、麦漆同様に小麦粉に水を加えて練っておきます。

次に同じくらいの量の砥粉と四辺地を水練りする。ちょっと硬めに練っていくのがポイント。

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水練り砥粉に生漆を混ぜてちょうど良いくらいの粘度に軽く練って、最初に作っておいた小麦粉の水練りと混ぜ合わせる。割れ編で作ったちょっと硬めの麦漆といった感じ。さらに、木粉を入れて練り上げて「こくそ漆」の完成!

入れれば入れるほど硬くなるので少しずつ足すように。と行庵先生。

入れれば入れるほど硬くなるので少しずつ足すように。と行庵先生。

こくそヘラ(付けベラ)を使って欠けの断面にこくそ漆を付けて成形します。欠けの大きさよりも、ちょっと盛り気味でヘラで馴染ませるように塗っていきます。形を整える時はヘラや指に水をつけて成形します。後で削れるので多少盛りすぎても大丈夫!

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ここからはお楽しみの木のブローチ選びの時間と初回の作業です。

「どちらにしようかなぁ〜」と悩む生徒さん。

「どちらにしようかなぁ〜」と悩む生徒さん。

今回はカエルや猫を選んだ方も!

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全体的に黒漆を薄めに塗って今日の作業は終了です。

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実は前回の教室で、旦那さんの大切にされている香炉の蓋が割れてしまい直したいと持参された生徒さんがいらっしゃり、「教室でお直しした香炉を旦那さんに渡したら、すごく喜んでもらえました!」と嬉しい声をいただけました!

今日からスタートした金継ぎ教室も、思い出をつなぐきっかけや喜びを共有できる仲間と出会える機会となれば嬉しいです。

これから全7回、どうぞよろしくお願いします。