箒(ほうき)。

かつてはその地域一帯の財を潤すほどにもなった箒づくりでしたが、戦後の高度経済成長に伴って「より大量により安く」が求められるように。海外生産やプラスチックなどの化学素材にとって代わられた天然素材の手作り箒は、日本の住環境の変化や電化製品の広がりにも押されて一気に衰退し、機能と美しさを兼ね備えた箒を作る職人もいなくなってしまいました。

そもそも「箒で家の中を掃除する」ということからさえ、遠ざかってしまった私たち。今や箒についても通り一辺倒のことしか知りません。

でもね。手塩にかけて育てられた素材を使って、簡単には壊れないように、軽い力でもしっかり埃をかき集められるようにと卓越した技術でしっかり編み込んで作られた箒が、どれだけその威力を発揮するか、それを知ってしまったら。もう箒から目が離せなくなってしまうんですよ。

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そんな箒をあなたと箒職人のコラボレーションで作りましょう、というのが今回のワークショップです。

作るのは、年末の大掃除に役立つこと間違いなしの「煤(すす)払い箒」。穂先が長く全長40㎝ほどあるので、ちょっと高いところのお掃除にぴったりだと思います。

今回つくる煤払い箒です

 箒づくりを教えてくれるのは、一hashime(ハシメ)の小林研哉さん。

小林さんが箒づくりに興味を持つようになったのは、福島県で蔓細工職人をやっていたお祖父さまの影響とのこと。お祖父さまから蔓細工や箒の魅力を教えてもらう内に自分も職人として生きていこうと思ったそうで、一hashimeという屋号はお祖父さまのお名前から来ているんですって。

素材となるホウキモロコシの栽培から収穫までを小林さん自らが管理し、高い品質にまで高められた穂を使って、大きな長柄箒から小さな洋服箒までを作り出しています。彼の作る編み目は本当に美しく、箒の表裏360度ぐるりと回しても、編み目の乱れがありません。

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そんな小林さんの箒に少しでも近づくよう、あなた自身そして参加する皆さんと一緒に、グイグイ編んでいってみてください。ホウキモロコシの穂先や茎の柔らかさ硬さを、自分の手のひらで感じながら編んでいくのは、本当に楽しいですよ。

ちなみに、これ以上の大きさで美しく作るにはさらなる技術と時間がかかります。それはまさに職人の域。そんな職人技術の素晴らしさを、今回のワークショップで少しでも実感していただきたいと思います。

かつてはこういった小さなサイズの箒は作られてはいませんでした。畳座敷が少なくなってしまった現代ですが、小さくてもホウキモロコシの箒の機能性はけして失われたわけではありません。素材の品質と職人の技術を高めることによって、大切な衣類や食回りでも使うことのできる“現代の箒”が生み出されているのです。

参加していただけたら、きっとその箒の使い心地と美しさを実感してもらえると思いますよ。お待ちしています。

※10月21日(金)10時まではサポート会員優先期間となります。

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