【てならい後記】自分の“ことば“を絵本にする連続ワークショップ<9回目>
こんにちは。てならい堂スタッフのひのです。
「自分の“ことば“を絵本にする連続ワークショップ」、9回目を開催しました!前回までで全ての印刷が終わったので、今回はそれらを手製本していきました。
手製本とは、大量生産のための製本ではなく、職人や作家が手作業で紙の束を1冊の本に仕立てていく技術のこと。やり方を教わったのは、少部数の受注製本やご自身での作品制作も手掛ける小金井市にアトリエを構える空想製本屋の本間さんです。
一番最初に、紙についておさらいしました。紙には「紙の目」というものがあり、繊維の流れ目によって、折り曲げやすい方向があります。つくる本の形状から、今回は「横目」の紙を使いました。本の「背」に並行になることで、めくりやすくなるんだそうですよ。
そしていよいよ作業に入っていきます。今回、製本の工程は全部で14ほど。(細かいことを含めるとそれ以上にも・!)1日かけて順番にやっていきました。ここではざっくりとお伝えします。
まず最初に、紙の角をそろえて真ん中を潰すようにヘラで紙を折っていきました。これを本文紙、見返しとすべてのページに施していきます。
次に、本文紙、見返しと紙を揃えて、目打ちという道具を使って紙に糸を通すための穴を開けていきました。紙がずれないように直角に持ちつつ、目打ちを刺していくのが難しそうでした。
穴を開けた後は、綴じる糸を蜜蝋でコーティング。その後、針に糸を通し、ゆるまないように糸をしっかり引っ張りながら綴じていきます。この時も直角に本を持つようにします。綴じるときに一番まずいのは、糸が緩いことだそうです。爪で弾いてすぐ戻るくらいに、きつく糸を綴じていきます。
綴じ方は「一折り中綴じ」というやり方で綴じていきました。中綴じというのは、紙を重ねてその真ん中を糸で縫い合わせて綴じるやり方のことをいいます。通常、ページ16ページを一折りとカウントするそうで、今回は本文紙は全部で16ページだったので、一折りとなりました。
その後、背部分を補強し、見返しと本文紙があわさった状態で、カッターで小口(本を開いたとき外側にくる部分)のカットをしていきました。ポイントは力を入れすぎず、一枚ずつ切っていくイメージで、定規をしっかり押さえてまっすぐ長めにカッターを上から下に流すこと。
これが意外と苦戦されてる方が多かったです・・!
綺麗に切れなかったり、はみ出ているからと油断してどんどん切っていってしまうと、やりすぎてどんどん本のサイズが小さくなってしまうので注意が必要な部分でもあります。
ということで、ほどほどのところでこの作業は終了。ここまでで、ハードカバー以外の部分はできました。
次に、ハードカバーの表紙づくりに入っていきました。ちょっと厚めのボール紙を、表紙で折り込むように包み貼っていきます。
そのために、まずはタイトル側の面で真ん中に持ってきたい部分の位置を先に決め、位置合わせを行っていきました。
午前の作業がひとまずここまでで一旦終了。細かな工程がたくさんあるので、ひとつずつ着実に進めていきます。
お昼ご飯は、先生から紹介してもらったご近所にある子ども文庫併設の食堂で、みんなで一緒にいただきました。さまざまな児童書が置いてあり、とても良い空間でした。ごはんもとてもおいしかったです・・!デザートにスコーンとお茶まで・・!
ぽかぽかした温もりに癒されつつ、午後の方が山場があるということで眠くなる間も無く 笑、みなさん再度気持ちを切り替え午後の作業に臨みます。
お昼休憩後は、表紙の紙とボール紙をしっかり貼り付けていきました。手のひらを使ってしっかりこすり、紙とボール紙にある空気を外に出していきます。
ハードカバー部分のできあがり!このとき、角を直角にしっかり折ると、かっこよく玄人感がでるんですって。ヘラなども追加で使い、角をシャープにしていきました。
ここまできたらいよいよ最終段階。その後、このハードカバーに午前中につくった中身部分を貼り付けていきます。このとき、ちり(ハードカバーの方がちょっと大きめのサイズのため、本の中身よりはみだしたハードカバーの内側部分)が均等になってることもあわせて確認します。
そして、糸を使って固定し、今度は見返し部分をハードカバーに貼り付けていきます。その際には、プレスの機械を使いました。2回に分けてプレスした後、板と重石にうつしかえて置いておきます。
本来ならそのまま一晩挟んで寝かせるのですが、今回はみなさんにお持ち帰りいただいた後、おうちで一晩、家にあるものを代用して重石をしてもらいます。
ひとまずここまでで製本のプロセスは終了!みなさんの完成品は次回をお楽しみに♪
ほぼできあがったものを見て思ったのは、やっぱり、ハードカバーってかっこいい!ということ。ソフトカバーに比べて工程が増えるため難易度は若干上がりますが、やはりずっと手元に残していくのに、丈夫さがあるのはいいですよね。
細かなポイントがたくさんあって、ひとつひとつの工程に意味があり、それらが積み重なって本が出来上がる、、、とても貴重な体験をさせていただきました。長丁場の中、丁寧に教えてくださった本間さん、どうもありがとうございました!
手製本の仕方は本当にさまざまあって、いろんなバリエーションがある中で、先生と相談の上今回はこの形をとりましたが、興味を持ってくれた方には、ぜひいろんなパターンを今後も深めていってもらえたらなと思います。
この製本パートのみ、1日がかりの工程に変更になったため、お昼休憩をはさみつつの開催となりました。かなりみっちり内容盛りだくさんだったと思います。参加者のみなさまも本当におつかれさまでした!
さて、いよいよ次回は最終回!はやいものです。みなさんの完成品をやっとみれるので、とても楽しみです!ご参加のみなさん、最後までどうぞよろしくお願いします!