木の道具の意味を考える。
小刀で削って作る自分の箸。
今回は、イチイの木を削って自分の箸を一膳つくってもらいます。
イチイという名前には馴染みがないかもしれませんが、日本中どこにでもある針葉樹で、講師を務めるwoodpeckerの福井さんが住む、岐阜の県木にもなっているそうです。
柔らかく加工がし易く、年輪がぎゅっとつまって狂いが生じにくいという特性があり、鉛筆の材料が、実はこのイチイです。
箸という道具に必要な機能、普段木工に馴染みの無い人達が作業をすること、そして講師が岐阜の人間であること、これら全てを考えて、福井さんは数ある樹種の中からイチイを選んでお勧めしてくれました。
この木を使って、まずは自分の手のサイズを測り、各自の手の長さにあった箸へ、加工していきます。
使用するのは主に小刀ですが、せっかくの機会ですので、のこぎりやかんななど、基本的な木工道具の使い方も教わります。
また、福井さんが作った木の道具を触って、イチイ以外の木の特性もご紹介したいと思っています。
箸というありふれた形を目指して、同じ様に小刀で削っていくだけですが、やはりそれぞれの箸には個性が出ます。
焼きペンという熱で木に字を書く器具もあるので、手元に刻印をいれてみたりもできます。
毎度のことですが、難しい話はさておき、作業とクリエイティビティを楽しんでもらえる体験になってますので、ご参加をお待ちしています。
木の道具の意味を考える。
山と森の国でもある日本では、昔から木の道具はくらしの多くの場面で使われてきました。
ひとくちに木の道具と言っても、使われる樹種は色々。
道具の目的に応じて性質を考えた上で、使われる木が選ばれてきました。
何でもプラスチックで、という現代と比べると、すこし豊かな時代であったように思えます。
福井さんは、こうした道具に使われる樹種のセオリーはもちろん踏まえつつ、ただ、現代の暮らしに合わせてもう一度そこは考え直すことが必要と考えています。
ライフスタイルが違えば道具の使用頻度も違う、当たり前のことなのですが、実際に向き合ってモノづくりを変えていくことは実は簡単では無いです。
古いもの、昔のものが何でも良いとは限りません。
続けることと変えること、そこにずっと向き合い続けているモノづくりが、そうして生み出された道具達が、日本では脈々と続いています。
こうした日本の職人達の知恵に耳を傾けて、身の回りにある気の道具の意味をもう一度見つめ直す機会になればいいと思います。
woodpeckerというつくり手。
福井さんのおうちは、元々木地屋さん。
みこしや仏壇の木地を作る職人さんの家系です。
実は、跡を継ぐこと無く一度は就職されています。
ですが、アパレル系のお仕事を経てモノづくりへの想いが募り、結果的に、木工作家の道へと入りました。
そういうバックボーンなので、自分が良いと思う物を作る、というスタンスの作家さんではなく、生活者の暮らしと、木を扱ってきた職人の知恵と技術をどう繋げるか、どう続けていくかという視点で活動されています。
今回のワークショップも、箸作りを通じて、木の道具の意味をみなさんにお伝えしたい、あるいは、昔は今よりはもう少し馴染みのあった木工道具の使い方を、おさらいできる様に、そんな福井さんの想いのこもったワークショップになります。
職人さんとは思えないくらいよくしゃべる方なので、色んなお話が聞けると思います。笑
いや、職人さんは普段は寡黙が人が多いですが、自分の仕事に対して熱い想いを持っていますので、モノづくりを語りだしたら止まらないというのは、福井さんに限ったことではないですね。
職人さんの想いに耳を傾け、一心不乱に箸を削る時間。
作業時間は2時間程を予定していますが、2時間で完成するのは、実はそこまでの下準備を福井さんがしてくれているから。
リスペクトすべき職人の仕事と、そして私たちのやってみる、楽しんでみるという気持ちが重なり合う、世界で一膳だけの箸。
皆さんも一度作ってみませんか。