【てならい後記《後半》】できたての箒展
昨年11月半ばから1ヶ月開催していた「できたての箒展」。今回は、そのてならい後記の後半をお届けいたします。
てならい後記《前半》はこちら→https://www.tenaraido.jp/ohanashi/houki2001_01/
実は、会期中、箒の原料であるホウキモロコシを使って、”草選り”という作業を皆さんにも少しやっていただきました。この草選りという作業ですが、ホウキモロコシの太い芯はどうしても長く折れやすいため、それを事前に折ってとっておく必要があります。一見地味に見えますが、これは職人さんの大事な仕事の工程の一つだったりします。
この、皆さんに草選りしていただいたホウキモロコシを基に、箒を一つ小林さんに仕上げていただきました。会期中にはお見せすることができなかったのですが、ついに出来上がりました。こちらがその完成した荒神箒。
てならい堂の「ひみつの小店」にて置かせていただいております。
また、今回、ひみつの小店に実際にお越しいただき、箒を持ち帰ってくださった方々に、購入の際、職人さんへのメッセージを書いてもらっていました。
皆さまからのメッセージを読んでいると、どの箒もそれぞれのご家庭で活躍するのではないかな、ということが想像されて、嬉しくなりますね。
プレゼントに買われた方や、古民家で使っていきたいという方もいらっしゃいました。
皆さんからいただいたメッセージは、責任を持って中津箒職人の小林さんにお届けさせていただきました。メッセージを届けたのち、小林さんからもコメントもいただいたので、せっかくですのでこちらにもご紹介させていただきます。
〜小林さんより〜
”今回、今まで行った事のない、現地WSやカスタムオーダー会などを開催し、参加してくださった方の箒作りに苦戦する姿や、出来上がりをすごく喜んでいる姿を目の前で見ることができ、私自身もとても新鮮で楽しく箒を作ることができました。
また、一目惚れしてくれた方や、プレゼントとして選んでくださった方、ようやく手に入れたと喜んでいただいた方、などのみなさんのコメントを見て、自分の中で美しく箒を製作することを心がけて作っていたので、とても嬉しく思います”
「穂先が柔らかい方が、ホコリが立ちにくい。」
「編むことで、茎が折れても抜け落ちなくなる。」
箒には、様々な工夫が詰まっています。
小林さんは、使いやすい箒だけでなく、使いたくなる箒を目指している。だからこそ、デザインも仕上がりも、少しでも綺麗になるように追求している。綺麗な道具の方が人が使いたくなるはずだから。
小林さんの箒づくりについて語る言葉は、全てが使い手を向いているなと感じます。純粋に、使いやすさを追求したものづくり。
だからこそ素直に使ってみたい。そんな想いが芽生えてくるのではないでしょうか。
「できたての箒展」。
今回のこの展示によって、皆さんそれぞれの中に、どんな箒の物語が紡がれたでしょうか。
私たちが教えてもらった箒づくりの話は、ほとんどが農業の話だったようにも思います。原料づくりから取り組んでいる中津箒だからこそ、”できたて”という言葉がしっくりきたのではないでしょうか。
もう一つ、”誰かのために”つくられている、ということ。
顔の見えない相手に向けられたものと違って、小林さんが、箒を使う”誰かのために”作った箒。愛情のこもったおいしいご飯のように、 だからこそ”できたて”という言葉がふさわしい。
「できたての箒展」は終了しました。でも、ある意味、ここで終了ではないとも思います。
「箒のことを知った」「箒に触れてみた」「箒を使ってみた」、そんなふうに箒と出会ったことで、これから皆さんそれぞれの場所での箒の物語がはじまっていくのではないでしょうか。
使う人がいなければ、なくなっていくものもあります。
なくなってきているものなのなのか? 必要ないものなのか?
じゃあ、私たちがいま本当に必要としているものって何なんだろう?
今ある当たり前をちょっと見直してみる。そうすると、また見方が変わってくるかもしれませんね。
身近に箒のある生活。案外いいかもしれませんよ。
さて、今回出会った中津箒ですが、引き続き、てならい堂にて取り扱うことが決定いたしました!3月末くらいに入荷できる予定です。
箒展の時よりも種類は少なくなりますが、「枝の手ぼうき」「トモエ箒」「荒神箒」「珈琲ミル箒」「ななめ手ぼうき」の5種類をご用意する予定です。
販売開始の準備が整いましたら、またお知らせいたしますので、しばしお待ちくださいませ♪
ここまでてならい後記をお読みくださり、ありがとうございました!