【てならい後記】深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室。23年春(第7回)
こんにちは、てならい堂スタッフのまつもです。
あっという間の4ヶ月でしたが着々と金継ぎも進んでいきました。
1月から始まったこの教室も今回で最終回です!
割れていた器が直っていく様子や勉強熱心な様子を見ていると私も嬉しく思いながらアテンドしていました。
【割れ・欠け編】
最後の仕上げ、磨きの工程を行っていきます。
前回は粉固めを行って、色が黒っぽく変わっています。
この黒い状態から、スポンジやすり→コンパウンド→磨き粉の順に進めていきます。
まずは、スポンジやすりで研ぎます。
スポンジやすりは1200番~1500番くらいの細かいものを使うといいそうです。
ここで注意しないといけないことが「研ぎ破り」です。
蒔いた粉を研ぎすぎてなくなってしまうことを「研ぎ破り」といいます。研ぎ破ってしまうと後戻りできないので少しづつ進めていきます。
線状の研ぎ方は、かまぼこ型の形状なので平行に研いでいくのではなく、垂直方向に研いでいくと形に添って研げるそうですよ。スポンジの先には力を入れずに、研げているところををよく見ることが大切です。
欠けの広い面積を研ぐ場合は角(一番出っ張っているところ)が研ぎ破りやすいので、面に合わせて、角度を変えながら研いでいきます。
◎研ぎのポイント
仕上での研ぎは、深追いせず研ぎ代を残して、次の工程に託すことも大切だそうです。とにかく迷ったときはそれ以上やらないことで失敗を防ぎます。
コンパウンド磨き
少量のコンパウンド(呂色磨き粉)を指につけて擦るように磨いていきます。
研ぎの時よりも力を込めて摩擦で磨くイメージです。
磨いてくると指に黒い汚れが付くのでそれをティッシュで拭きながら磨いていきます。
磨き粉
一昔前は角粉(鹿の角をパウダー状にしたもの)を使っていましたが、現在は呂色磨き粉(白)というものを使います。車の磨きなどに使われていたりもするそうです。
手の入らない細かい部分は「鯛牙」といいう鯛の牙を使って磨いていく方法もあります。
【ブローチ制作】
螺鈿、卵殻は前回塗り込んだ漆を研ぎだしていきます。
スポンジやすりと刃物を使っていきます。
螺鈿や卵殻を貼った個所は写真に撮っておくと塗り込んだ後の研ぎ出しに便利です。
完成した器とブローチです。初めての出来栄えはいかがだったでしょうか。
最後に、
蒔絵の上に透き漆を塗る白檀塗(ビャクダンヌリ)での金継ぎを紹介していただきました。
こちらは、まず大きな欠け部分にコクソ漆などでベースを作っていき蒔絵で模様描きます。その上に透き漆(透明な漆)を塗り、磨き仕上げたものです。
蒔絵の上に漆が一層掛かっている状態なので、擦れに強いそうです。
継続される生徒さんも多いので次回の教室でやってみたいという方もいらっしゃいました。
行庵先生の教室では漆以外にも茶道や日本文化のことなど本当に話題が尽きない教室です。皆さんと楽しくお話ししながら進んでいくので、つい私も聞き入ってしまいます。
情報交換や作業の状態を共有しながら進めると、一人で作業をするよりも金継ぎ力も伸びるのが早くなるそうですよ。皆さんで蒔絵の深みにハマっていきましょう!
行庵先生、ご参加いただいた皆さん。今回の「深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室」全7回、お疲れ様でした!