こんにちは、てならい堂スタッフのまつもです。
2023年夏期の「深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室」が始まりました!
今回、初めてご参加していただく方は基本の金継ぎ、「割れ欠け」とブローチ作りを行います。
二回目の生徒さんの参加も多く、今回は難易度を上げて「蒔絵継ぎ」とブローチ作りや、拭き漆などそれぞれ興味のある技法でみなさん一緒に完成を目指していきます。
「蒔絵継ぎは」こちらの豆皿を修理していきます。
まずは、「割れ欠け」、「蒔絵継ぎ」も接着の基本になる麦漆を作っていきます。
麦漆は小麦粉と、細かい輪島地の粉(4辺地)を水で伸びるようになるまで練っていき、同量の瀬〆漆を加えます。
小麦粉と地の粉を混ぜているところです。
【割れ欠け編】
割れには先ほどの麦漆を破片の断面につけていきます。
2回目なのでスムーズに進められていますね◎
割れの両方に麦漆をつけたら接着していきます。
ズレやすいので先の尖った物などで段差を確認することがコツだそうです。
最後はしっかりマスキングテープで固定します。
先生に確認していただき、割れの作業は終了です。
続いては、欠けの工程を進めていきます。
破片がない部分や大きい欠けには、コクソ漆という粘土状の漆を使います。
このコクソ漆は様々な用途があるのですが、その用途に合わせて配合を変えていくそうです。今回も「欠け用」と「蒔絵継ぎ用」の2種類のコクソ漆を作りました。
まずは、小さめの欠けの埋めに使用するコクソ漆を作っていきます。
麦漆に木粉(ツゲの木粉)を粘土状になるまで加えていきます。
手で持てるくらいの硬さです。
コクソ漆のサイズピッタリですね!
コクソ漆は湿しは無しで、1週間~2週間で次の作業に進められるそうです。
【蒔絵継ぎ編】
蒔絵継ぎは、大きな面積の欠損がある器に、コクソ漆でベースを作っていきその上に、蒔絵を行います。さらにその上に一層、透き漆を塗り込むという工程で進めていきます。
工程が増えるのと、漆の部分が蒔絵で自由に描けるので、難易度はグッと上がりますが大作になりそうですね!
まずはコクソ漆で広い面積のベースを作っていくのですが、大きな欠けの場合、こくそ漆を二段階にわけてつけていきます。今回はコクソ漆の一回目の工程になります。
先ほども出てきた麦漆に木粉(ツゲの木)、輪島地の粉、コクソ綿と呼ばれる麻の繊維、布粉(コクソ綿を細かくした粉状のもの)を練り込んで粘土のような硬さにします。
この工程で作るコクソ漆は一度につける面積が多いため漆の乾きをよくする材料、広い面積でも強度が保たれる材料を混ぜ合わせています。
↑コクソ綿を細かくしているところです。
コクソ綿を入れることで、より丈夫になります。
ある程度粘度が出てきたら指で練りながら、また木粉まぶしながら器に合わせて成形していきます。※素手で触ると被れます!皮膚に触れないようにしっかり手袋などで保護してから作業してくださいね。
コクソ漆が出来たら器の断面に麦漆をつけてからコクソ漆をつけていきます。↑麦漆をつけることで接着力が増します。
先生のお手本です!
この工程でのポイントは、コクソ漆は一つのまとまりで成形することです。
足りずに後から追加していくと後々の下地の処理に影響してしまうそうです。多めにつけて少しづつ調整していきましょう!
綺麗にできました。
次回は2回目のコクソ漆をつけて、器の形に合わせていきます。
今回の工程は以上です!
麦漆の出番が多かったですね。麦漆は小麦に含まれるグルテンが漆と混ざって接着力が強くなっています。麦漆作りをマスターできれば金継ぎの第一歩前進ですね!
今から完成がとっても楽しみです。次回もお楽しみに!