【てならい後記】てならい堂×グリーンピースDay : 六月八日と初めての森の香りのワークショップ
こんにちは。てならい堂スタッフの村上です。
最後に森のことを考えたのはいつですか?
梅雨の季節は森が最も綺麗にみえる季節です。そんな7月4日に、森を想い五感でつながる、森の香りスプレーづくりのオンラインワークショップを開催いたしました。
講師は『六月八日』さん。
大分の耶馬渓の森づくりを行う「久恒山林」から生まれた“森を想う暮らし”をコンセプトとしたアロマブランドです。六月八日というブランド名は、その日が、森の一年で一番生命力に溢れる日、というところからきています。春が過ぎた後の、さーっと優しい雨が降り始める梅雨の季節には、森は潤って、動物や虫たちがとても元気になるそうです。
今回のワークショップは、【グリーンピースDay】の第一回目でもありました。いつものワークショップにプラスして、地球規模で環境問題に取り組むNGO団体のグリーンピースさんのお知恵をお借りして、私たちの生活とつながる環境問題についても少し考えてみよう!という新しい試みです。
大分の六月八日の本社からは、久恒山林の久恒社長、商品開発等の担当をしているまゆさん。てならい堂のひみつの小店からは、六月八日のワークショップ担当の関戸さん。グリーンピースジャパンのせりさん、むつみさんはそれぞれのおうちから、Zoomで繋がっていただきました。オンラインワークショップならでは、ですね。
事前におうちに六月八日さんからの「森からの贈り物」が届きましたよ!
ワークショップでブレンドする100パーセントナチュラルな精油と一緒に、森の植物も届きました。耶馬渓の森のスギ、ヒノキ、クロモジです。ヒノキ、スギは植林されたもの、クロモジは自生していたものだそうです。九州のクロモジは本州のものと比べてフワフワしているそうです。
手にとって匂いを嗅いでみると爽やかな香りがします。植物と一緒に、森の空気も届きました。
ワークショップが始まり、参加者の皆さまに自己紹介をしていただきました。オンラインワークショップでは全国各地の方々と繋がることができます。てならい堂の他のワークショップに参加してくださった方や、アロマオイルを勉強されている方や、家にいる時間が長くなり香りでリラックスしたい!という方もいらっしゃいました。
最初は、グリーンピースジャパンのせりさん、むつみさんから、環境としての森と世界の森林についてのお話です。
NGO団体のグリーンピースさんは、世界55以上の国と地域で活動し、国内だけでは解決が難しい地球規模で起こる環境問題に、グローバルで連携して解決に挑戦している団体です。
なんと、今は世界の半分の森林が失われてしまっている。そして、サッカー場1つ分が3秒ごとに失われている、とグリーンピースさんは教えてくれました。
あまりにも壮大で、私には思い浮かべるのも難しいくらいです。そんな、いつからか私たちの暮らしの範囲を超えてしまった問題にも、グリーンピースさんは専門家と力を合わせて、政府や企業に働きかけています。遠くの森でも、先住民の方々や動物たちが生活しています。そして、森は私たちの見えないところでも、私たちを助けてくれていて、きっとなくなってしまってからその大切さに気付くのでは、遅いのです。
環境破壊をしよう!と思っていた人は少ないのではないでしょうか。ただ、自然との距離がだんだんと離れてしまっていくうちに、便利なこと、早くできること、そんなことにフォーカスしすぎて、気が付いたら私達も自然の一部だったことを忘れてしまったのかもしれません。
世界の森が伐採されていく一方、日本の森林は安い海外の木材の輸入等の理由から経済的に立ち行かなくなって放棄され、手入れがされないために様々な問題を引き起こしている、と久恒社長は話してくれました。
そんな厳しい状況の中でも、持続可能な森を守っていくため、久恒山林は林業を続けています。この状況を変えていくためには、森が近くにない人たちにも森を近くに感じてもらうこと。そんな想いから、六月八日の精油は生まれました。
今回のワークショップのためにおうちに届いた、精油と植物のふるさとである耶馬渓の森。久恒社長と、まゆさんの森の映像を見ながら、その森を一緒に歩いている気持ちになれました。
鳥の鳴き声を聞きながら見る森の映像は、心を落ち着かせてくれます。人間の長い歴史の中では、森とともに生活をしてきた時間のほうがずっとずっと長かった、と社長は言っていました。行ったことがない耶馬渓の森も、どこか懐かしく感じてしまうのは、そのような私たちの生活の歴史からきているのかもしれませんね。
森は私達が思うよりもずっと近くにある気がします。
蒸留で使う木や葉の森での姿も見ることができました。そして、参加者のみなさまの感想も交えながら、スプレー作りに入っていきます。同時に大分の本社からは、精油の蒸留実況中継もスタートです!何気なく手にすることが多い精油ですが、どうやってできているかを見るのは初めてでした。
スプレーづくりは、てならい堂のひみつの小店から、六月八日さんのワークショップを担当している関戸さんが実演してくれました。
ヒノキ木部、ヒノキ枝葉、スギ枝葉、夏ミカンの精油を、ひとつづつ香ってみました。今、蒸留しているものと同じ香りですよ!と関戸さん。大分の本社も今同じ香りがしているのかな?と想いを馳せてみます。オンラインなので、別々の場所にいるけど、今同じ香りを香っている。なんだか目には見えない繋がりを感じました。
森を思い浮かべながら、精油を一滴づつ、ブレンドしていきます。同じヒノキでも、木と枝葉で香りこんなに違うのには驚きました。スギは柑橘系の香りがふわ~としました。
ブレンドした精油を、サトウキビ由来のエタノールと混ぜて、六月八日ブレンドの蒸留水と混ぜます。できたスプレーをシュッと一吹きしてみると、部屋のなかに優しい森の香りがゆっくりと広がりました。
「フレッシュな木の香りになりました」「合成物とは違う天然の香り。やっぱり自然の力はすごい」「東京にいると、五感を刺激されることが少なくなってしまう。香りや、森の音を感じることができました」と、皆さまの言葉に頷いたり、はっとさせられました。
森の育つペースと私達が暮らしていくペースを合わせていくこと。森のペースを無視して、ものづくりを進めていくと、そこにズレが生じてまう。森と生きてきたまゆさんは、そう教えてくれました。サッカー場1つ分の森林が3秒ごとに失われている中で、一本の木が育つのには何十年もの時間がかかります。木は、私たちのように、時間をかけて育っていくのです。
グリーンピースさんが大切にしていることの一つに、「これから暮らし続けたい社会を一緒に作っていきたい」というものがあります。私たちの生活でできることもグリーンピースさんは教えてくれました。例えば、使い捨て用品を減らすだったり、買い物をする時にそれがどこから来ていて、なにを使っているか考えてみるだったり。環境問題というと、どこか難しい気がしてしまいますが、生活の仕方を少し工づつ夫していくことなら、できる気がします。
森を子供たちの世代に続けていくこと。いつになっても、そこに森が当たり前にあってほしい。きっと森と生きるということには、「責任」も含まれているのだと思います。
ワークショップの後に、いつも通っている道を歩いていると、風で木がザワザワ揺れているのがいつもよりも大きく聞こえて、思わず少し立ち止まってしまいました。私の住んでいる東京のこの町は、昔はどんな場所だったんだろうと想像してみました。
私の住んでる場所には、耶馬渓のような森はありません。なので、都会の忙しい毎日の中で森のことを忘れそうになってしまう時もあると思います。でも、都会の中の木の音を聞いてみる時間を作ったり、六月八日さんのスプレーの香りや、部屋に飾った植物がふと目に入ったりすると、森のことを思い出せる気がします。
六月八日さんのアロマは、てならい堂でもお取り扱いしております。
六月八日さん、グリンピースさん、参加者の皆さま、ありがとうございました。