自分で作ってみて分かる○○やすさ
宮薗さんのワークショップは、まずスプーンを実際に持ってみるところから始まります。スプーン製作を始めたばかりの頃、宮薗さんは究極の一本を作ろうと励んでいました。
そしてある日、自分が一番持ちやすい渾身の一本を展示会に出したところ、「持ちにくい」と言われてしまったそうです。
それから宮薗さんは、「みんなにとっての究極の一本は存在しない。じゃあその人にあった一本を作りたい」と思ってオーダースプーンを作り始めました。
理由は指の長さだったり、持ち方の癖だったりしますが、人によって違うスプーンの「持ちやすさ」を探すために、最初にスプーンを持ってみるところが、今回のスタート地点です。
また、スプーンを削っていくうちに、あんな形がいいなとか、こんな形がいいなと、みなさんどんどんイメージというか、”欲”(笑)が出てくるようです。けれど、これも実際に口に入れるところを想像して、スプーンの「食べやすさ」を決める要素を意識しておく必要があるわけです。
何気なく使っている暮らしの道具に、そんなつくり手の「使いやすさ」や「食べやすさ」への試行錯誤が込められていることも、自分でつくってみて初めて気づくことかもしれません。
「使いやすさ」とは言い換えるなら「思いやり」。
宮薗さんのスプーンを見て、てならい堂は大切な人へのギフトに相応しい、思いやりを感じました。
そしてこの思いやりは、このワークショップに参加いただくみなさまのスプーンにもきっと宿るはずなんです。
だから、きっと誰かに贈りたくなるはずのスプーン作りのワークショップ。不器用?いや関係ないです(笑)。
一心不乱に木を削る時間、そのものがちょっと贅沢かもしれませんよ。
木のスプーンコラム②「木のスプーンの魅力。考えたことありますか」