スプーンを使って森の循環に関わること
東京の西、多摩地区にはスギやヒノキの人工の森があります。
かつて、経済が大きく成長していた時代に、家を建てるために植えられた木々。
けれど木が育つには時間がかかり、そして育った頃には東京の森を取り巻く環境は大きく変わっていました。
売れないままに増えすぎた木は花粉症などの問題を引き起こしています。
人工の森は、人が手を入れ続けなければならないので、実際の用途が無くても、ただただ伐採されています。
いろんな問題が絡み合って、「だから、どうすればいい。」という単純な話では無いようです。
そんな大すぎる問題に立ちすくむのではなく、まずは自分たちの身近なところから意識を変えていこうというコンセプトで作られたのが、KINOの自分で削ってつくるカトラリーキットのシリーズ。
宮薗さんのワークショップでは、このKINOのキットを扱いやすく宮薗さんがにアレンジしてくれたものを使っています。
東京のヒノキを使うことの意味、それはーーー。
東京に住み、木を使う作家という立場にあって、東京の木の循環に関わることが自分の責任だと宮薗さんは言います。
それを聞いて、”循環”って素敵な言葉だなとてならい堂は思いました。
私たちは大きな自然の循環の中に生きている、ということ。
東京にあっても、もちろんそれは変わりません。
例えば、自分たちの住む土地や自然やあるいはコミュニティから、何かを受け取った分、何かを返していくという感覚。
今のような大きく広がった社会では、そうした「自分が循環の中にある」という感覚を持つ方が難しいのかもしれません。
スプーンという普段使い慣れた道具の中の一つを見直すことが、「ものをつくるということ」を身近に感じ、そして自分たちがつながっている世界を意識すること、ちょっと大袈裟かもしれませんが(笑)、そんなきっかけになったとしたら、私たちはとても嬉しいです。
木のスプーンコラム②「木のスプーンの魅力。考えたことありますか」