【てならい後記】板締めで染めるてぬぐいワークショップ
こんにちは、てならい堂スタッフの加茂です。
気づけば10月ももう終わりですね。皆様はどんな秋をお過ごしでしょうか。
100年の歴史を誇る、染の里おちあいさんで毎月開催している染めワークショップ。今月は、てならい堂では初めての「板締め」でてぬぐいを作るワークショップを開催しました。
同じ方法、同じ型を使って染めても、使う色だったり、染料の絶妙な入り加減によって仕上がりが十人十色な染めもの。私も毎回仕上がりが楽しみなのですが、今回の板締めでの染めは特に、仕上がりをみんなで見比べるのがとてもおもしろい体験となりました。
板締めの方法自体はとてもシンプル。四角や三角に折った布を、板で挟んで締め、染料に浸して染めあげます。この折り方と、どの箇所をどの色で染めるか、染料への浸し具合、などで仕上がりが変わってきます。
板締めについてお話を聞いて、布の折り方を教わるところから体験スタート。折り方は四角・二等辺三角形・正三角形の3種類。それぞれの仕上がり見本を参考に、折り方を決めて折っていきます。ちなみに四角が1番かんたんとのことでした。
「折るだけでもやってみると以外と難しい…!」「あれ、次どこ折るんだっけ笑」「角がふにゃふにゃになっちゃう」と、皆さん少し苦戦している模様。さらに、「ピシッと折れる人がやると、やっぱり仕上がりもすごく綺麗です。けっこう性格が出ますね。」との言葉を受け、丁寧さに拍車がかかっておりました。
折り終えたら板で挟んで、締め具でかなりガッチリ締めていきます。締めが甘いと染料が中まで浸透してしまい、白抜き部分が無くなってのっぺりした仕上がりになってしまうそうです。
そしていよいよ、染料で染めの工程に入っていきます。薄い色のピンク・黄を先に刷毛で染め入れ、後から濃い色の緑・青の染料に浸していきます。
見本はあるものの、最初はいまいち仕上がりが想像しづらい板締めでの染め。今回は2枚作れるので、「どうなるか全然わからないけど、こんな感じで入れてみました。」「見本が素敵なので、ひとまず同じ方法でやってみようと思います!」と1枚目は皆さん手探り状態で染めていきました。
染料に浸した後は、染み込みすぎない内にすぐ水で洗っていきます。洗い場の関係で、順番に染めていったのですが、先の人の仕上がりを見ると、さらに染め方に悩む方も…
それもそのはず。いい意味で、仕上がりが想像を大幅に裏切ってくるのです!
同じ四角の折り方で染めていても、染料を入れる箇所の違いで同じ折り方とは思えないくらい違った模様が表れます。今回は5名の方が参加してくれたのですが、同じような模様がひとつもない…!
「きれーーい!」「お花みたい!かわいい!」「これはどうやって染めたんですか?」「そんな風にも染まるんだ、おもしろい!」と、1人1人仕上がる度に盛り上がりました。他の人の作品を見れるのもワークショップの醍醐味だなあ、と感じているのですが、今回はほんとうに毎回仕上がりを見るのが楽しかったです。
1枚目が終わったところで、2枚目を染めていきます。「イメージ固まったので!」と、サクサクっと染めていったり、他の方の1枚目のやり方を教わって染めたり、「これも全然どうなるかわからないけど…」と冒険してみたり…など、2枚目は染め方も十人十色でした。
そして、気になる仕上がり…!2枚目でも毎回新たな模様が誕生して、ここでも1人仕上がる度に「そんな模様もできるんですね…!」「三角に折ったのに四角の模様になるんだ…!」「同じ様に染めたはずなのに、(仕上がりが)全然ちがう!」といろんな発見がありました。「もはや人のを見る方が楽しい!」という方も。笑
最後は出来上がったてぬぐいを1列に並べて、感想を言い合ったり、染めの入り方について解説していただいたりして、体験は終了。
「自分で作ったものだと、やっぱり愛着が湧きますね」「使ってもいいけど、2枚あるし1枚は飾っても素敵かも!」場面に合わせて、いろいろな使い方ができるてぬぐい。自分で染めたものを日常で使うと、その度少しうれしくなる気がします。
染の里おちあいさんではこの夏に浴衣をこの板締めの方法で染めてみたらしく、13m(!)の生地をアイロンで折って染めていったそうです。仕上がりが狙いづらそうな板締めですが、職人さんたちは経験で狙った仕上がりにしていくらしく、やはり積み重なった経験や技術はすごいなあ、と感じました。
染の里おちあいの皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました!
来月は11月14日(土)に、引染め+オプションであずま袋を和裁で作るワークショップを開催予定です。気になった方はぜひこちらからチェックしてみてくださいね。