【てならい後記】毎月、繕う事にじっくり向き合う。さらに楽しむダーニング教室 1月
こんにちは。
てならい堂スタッフの五十嵐です。
神楽坂の路地裏に佇み、古き良き街の景観を守り続けている「一水寮」。登録有形文化財でもあるこの建物は、時おり、てならい堂のワークショップの開催場所となることがあります。今回ご紹介する「ダーニング教室」も、情趣に富む一水寮の一室で行われました。
いつもは神楽坂のストアで行っている全6回の定期コースですが、4回目の今回は場所を移しての開催となりました。(ご参加のみなさん、ありがとうございました!)
木造建築の心地よい香りに包まれながら、しっとりと繕う……みなさん、そんな教室を思い浮かべたでしょうか? もちろん、そのような場面もあったのですが、どちらかといえば、いえ、控えめにいっても「とにかく楽しい」教室でした!
教えてくれるのは、中須賀先生。じっくり時間をかけて、さまざまなステッチを優しく楽しく教えてくれますよ。
4回目とあって、すっかり打ちとけた先生とみなさん。まずは新年のごあいさつから。
「明けましておめでとうございます、とはいい難い新年となってしまいましたが、本年もよろしくお願いします!」
気持ちもあらたに、今年も一緒に手しごとを楽しんでいきましょう!
今回教えてもらうのは、「ハニカム」と「タンバリン」というステッチです。
まずは穴をふさぐハニカムから。
生地が擦れるなどして穴が開いてしまったとき、ほとんどの場合は、その周りの生地も薄く、弱くなっています。その外側から補強するため、まずは穴の5mmほど外側をぐるりとチャコペンシルで囲いました。そしてその線を目安に、外側から内側へと縫っていきます。
ハニカム(honeycomb)の名の通り、ハチの巣のように見えるステッチ。でも、糸の色やかたちによっては、太陽にも、ひまわりにも、惑星にも見えるんです。この日も個性豊かなハニカムが誕生しましたよ。
続いてはタンバリン。ハニカムとは逆に、内から外へと縫い進めるステッチです。放射状に広がるステッチは、のびのびと自由に育っていきます。
みなさんがチクチクと縫い進めるなか、あちらこちらで聞こえてきたのが「かわいい……」というつぶやき。声を大にしていう「かわいい!」ではなく、心の声がもれてしまった「かわいい……」なんです。自分で育てたステッチに対する愛おしさに溢れていました。
「みなさんが、ご自分のステッチを「かわいい~」といいながら縫ってくれるのが、本当にうれしいんです」と中須賀先生。
もちろん、いつも納得できるステッチが縫えるとはかぎりません。でも、自分だけでは気づけない「よさ」を、ほかのだれかが見出してくれます。
この日も、縫い終わりの切ろうとしていた糸を見た先生が、「その糸、そのままたらしておくのもかわいいかも」というと「本当、それもかわいい!」とみなさんで盛り上がっていました。
また、縫い目にも完璧なかたちはありません。先生は、ダーニングの1周目、2周目と縫い進めるやり方を、マンションの1階、2階にたとえていました。
「ワンルームがあったり、広い部屋があったり、いろいろな大きさの部屋があっていいんですよ」
なるほど! この寛容でおおらかな考え方が、ダーニングの大きな魅力といえるのではないでしょうか。
そしてこの日、ひと際たくさんの「かわいい」で溢れたのは、きしめんのような白い太い毛糸を使った「平行移動ハニカム」というステッチでした。
同じハニカムでも、四角いかたちに縫っていくのが平行移動ハニカム。これに毛糸をあて布のように挟んで縫い進めていきました。
平たい白い毛糸はまさにきしめん。その味わい深いフォルムがハニカムのステッチと相まって、なんとも愛らしいダーニングとなりました。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね。まもなく終わり、というところで、本日のステッチをみなさんで見せあいました。しばしワイワイと感想を伝えあい、本日は終了です。
このダーニング教室は、今回初めて参加された方も、前回のコースから継続された方も、一緒に学ぶ定期コース。みなさんの習熟度に合わせて、先生が丁寧に教えてくれます。
慣れている方はお話も楽しみながら、集中したい方は耳を傾けながら。進み具合は違っても、そこは寛容なダーニングです。みなさんでお互いのステッチのよさを見つけあいながら、手しごとを和やかに楽しんでいましたよ。
ご参加のみなさま、中須賀先生、ありがとうございました。
次回もよろしくお願いします!