こんにちは。スタッフのひのです。

夏ですね。浜辺や磯で遊びたくなる時期ではありますが、先日、林業に触れる機会がありました。森を訪れ木を見て、さらに工場でどのように加工されていくか。木を切り出すことで山の手入れをしつつ、次の世代のために木を植えることもあわせて行う。そして、いただいた資源を建築材、家具、小物、バイオマスなど余すところなく次のものに活用する。

一つの循環的な営みを目の当たりにした気がしました。そのときに、案内してくださった方も言っていたのですが、「使うこと」が大事だと。使う人がいなくなると、商いも廃れるし、担い手もいなくなるし、山も荒れる。という悪循環が起こってくる。”何を使うか””どう使うか”。生活者として、これからも常に心に留めておきたいなと思いました。

さて、てならい堂では自分にとって心地よく、社会にも環境にも良いことをしていると感じられる生活を、”こころよい生活”と呼んでいます。これまでもそれを知るための様々な機会を模索してきましたが、さらに自分たちにとって”こころよい生活”を探すために、季節ごとにテーマを決めて、取り組んでいます。

2024年 8月のテーマは「受け継いでいく日々」です。

過去に想いを馳せ、未来へ繋げていく。そのために今できることとは。今回のテーマのミソは”日々”とついていることかなと思います。それが意味するところとは?3ヶ月間一緒に、じっくりと考えていきましょう。

  「受け継いでいく日々」を考えるために、
    てならいに参加してみる。
    てならい堂神楽坂ストアに遊びに来てみる。
    自身の生活の中で見つめ直してみる。

それぞれのやり方で、みなさんも自分にとってのこころよい生活を探してみませんか。

 「受け継いでいく日々」を考える、8月の話題。

1)当たり前は、あたりまえではない?

2)実際に生活の中で“受け継いでいく日々“について考えてみる

 ・繕って思い出を重ね続ける。初めてのダーニング教室。8月平日開催!

 ・お店で「金継ぎ修理」受付 in 神楽坂ストア

 ・使い続けるための”研ぎの技術”を学ぶワークショップ

3)てならい365日のススメ

1)当たり前は、あたりまえではない?

先日、法事に参加しまして、まさに今回のテーマ「受け継いでいく日々」と絡んでくることが多いなと思いました。お坊さん曰く、時間をとって想いを寄せる。故人から受け継いだことを思い出し、姿かたちはなくなってしまっても見守ってくれていることに感謝する。そのような場としての時間を取ることが、法事としての大事な意味ということでした。

日常は忙しなく過ぎていく。止まらない。流れていく。だからこそ、立ち止まって、故人を偲ぶための時間をとる。それが法事。そのときにお坊さんが言っていた言葉で印象に残っていることがあります。それは、「ありがたいことがつづいていくのが”日常”」という言葉です。

当たり前になっていることを特別に感じ、「日常に感謝する」というのは、なかなか難しい時もあるかもしれません。でも、そうして日々当たり前に過ごしていることを、今後は当たり前じゃなくなるかもしれないという前提にたつこと、途切れてしまうのは一瞬であること、そういうことも私たちは念頭に置いておく必要もあるのではないかと思います。

朝起きて「おはよう」と言えること。五体満足にからだを動かせること。ごはんを食べれること。仲の良い人たちと会って話せること。こういったことは”日常”であり、”有り難い”ことである。

だからこそ、こういった日常にある日々を繋いでいくことはとても尊いのだと思います。禅、人のいのち、死生観といったことに触れると、なんだかそういう考えになってきます。そのありがたい日常をこれからも大事にしていきたいなぁと思いました。

こちらは、以前山形の鶴岡市を訪れた際に紹介してもらった伝統野菜の”藤沢カブ”。その地域で古くから育てられてきた在来種です。守り育ててくれた人々がいたからこそ、今残るもの。

今ある当たり前がそうではなくなるときがくるかもしれないという話をしました。”当たり前”、”ふつう”、“常識”。これらは時代や立場によって変わるものでもあります。だからこそ、そんな中で、受け継いでいくものというのは?

家電の発達やライフスタイルの変化によって、便利になったこともある一方で、廃れていった文化もある。だからこそ、いいなと思うものを残していこうという動きや、再生しようという動きもでてきています。伝統工法だったり、手作業での職人技だったり・・。

「受け継ぐ」というのは、前の人が残したものを引き受けて行う、ある人の性質や意志などを引き継いだりすること。でも、受け継いでいくことに盲目になりすぎてもいけない。何が大事でそうじゃないのか、わたしたちはその都度判断しなければならない。何を残し、何を残さないか。自分にとって必要なこと、他の人にとって、社会にとって・・・。

頭で論理的に考えること、心で直感で感じること、どちらも大事にしながら、よりよき方へと選択していけるといいですよね。

2)実際に生活の中で“受け継いでいく日々”について考えてみる 

・繕って思い出を重ね続ける。初めてのダーニング教室。8月平日開催!

日々の生活の道具を見つめ見直す中で、てならい堂は道具をできるだけ長く使いたいと思いますし、できるだけ捨てるものは減らしたいと考えます。そう考えた時、何を買うのか何を買わないのかはとても大切な判断ですが、同時に「直して使う」という判断ができたら、それは素敵なことですよね。

ということで、習っておきたい技術の一つが”ダーニング”。穴の空いた服や擦り切れた生地を、針と糸だけで補修する家庭的な技術で、ほつれた毛糸の靴下や穴のあいたエプロン、ニットについてしまった染みなどの上から、織物の様に縫い上げることで繕います。繕うことで、捨てずに済むし、自分だけの新しい柄を追加して、この先ももっと大切に使っていけるようになります。はじめてダーニングを習う方におすすめしたいこの教室。まだやったことのない方はぜひご参加お待ちしてます!

■【てならい】繕って思い出を重ね続ける。初めてのダーニング教室。8月平日開催!

・お店で「金継ぎ修理」受付 in 神楽坂ストア

大切に使っていたものを長く使い続ける。そのための修理。器の修理というと、”金継ぎ”が思い浮かびます。てならい堂では、定期的に金継ぎ教室を行なっていますが、それだけでなく、神楽坂ストアで随時金継ぎ修理の受付も行なっています!

直し方をならって自分で直すのもよいですが、金継ぎは時間がかかりまなかなか大変なプロセスではあります。ですので、とにかく器を“ちゃんと”直したい人、気軽に金継ぎの器に触れてみたい人、プロの手によってお直ししてもらいたいという人は、てならい堂の「金継ぎ修理」サービス、おすすめです。もしお手元に壊れてしまった器がある方は、お直しするだけでなく継ぎによって器の新しい姿を見せてくれる、”金継ぎ”はいかがでしょう?

■【きんつぎ】お店で「金継ぎ修理」受付 in 神楽坂ストア

・使い続けるための”研ぎの技術”を学ぶワークショップ

日本刀製造の流れを汲む打刃物工房の六代目職人、石塚祥二朗さんから、包丁を使い続ける「研ぎの技術」を学びます!石塚さんの工房、正次郎鋏刃物工芸の歴史は古く、江戸時代にまで遡ります。日本刀の鍛冶職人として働いていた石塚さんの曽祖父長太郎氏は、日本人の手に合う裁ち鋏、通称「ラシャ切り鋏」の始祖吉田弥十郎に師事しました。鋏は工程が多く形状も複雑で、鋏ができればどんな品物にも応用が効くと言われているほど高い技術が求められます。

そんな技術を受け継ぐ石塚さんが作る包丁は、刀や鋏の技が生かされた切れ味抜群の逸品。良い包丁を作り、使い続けるための技術を持つ石塚さんから研ぎの技を学ぶことのできるチャンス。ぜひこの機会に包丁の研ぎ方をプロから習っちゃいましょう!体感してコツを掴んだ後は、おうちで研ぎを継続して行うことで、包丁を使い続ける技術が磨かれていくはずですよ。

■【てならい】使い続けるための”研ぎの技術”を学ぶワークショップ満席御礼!

研ぎの診断会募集中です!

3)てならい365日のススメ

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いかがでしたか。みなさんもぜひこの機会に、”受け継いでいく日々”について考えてみませんか?てならい堂では、今月であれば「受け継いでいく日々」といったように、あるテーマをもとに自分の生活を見つめ直してみる機会を「てならい365日」と名付け、お家でのセルフジャーナリングをみなさんにオススメしています。

やり方はとっても簡単。ノートを用意して、今回のテーマについて書き出してみる、以上です。どんなことでも結構ですし、関連することを実践してみたり、てならいに参加してみたり、やってみたいなと思うものがあればやってみて、それについて書いてみるのでも大丈夫です。騙されたと思って書いてみると、書き出された文字を見て、不思議とどんどん新しい考えが思い浮かぶもの。書き出すノートはどんなものでも構いませんが、てならい365日専用オリジナルノートもありますよ。(ノートの購入はこちら

ノート

そうやって自分の考えを進めていくことが、自分にとっての「こころよい生活」を見つけることにつながると思います。テーマへの取り組みに際し、ご感想等いつでもお待ちしてますので、もしよろしければ、てならいに参加した時や神楽坂ストアに来た時に、ぜひてならい堂のスタッフへ伝えてみてくださいね。なにかさらに新たな発見があるかもしれませんよ。

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 「てならい365日」では、3ヶ月ごとに同じテーマに取り組み、毎月それについてお知らせしていきます。今後、てならいの参加者募集とともに、てならい便り(メルマガ)にてこのテーマについてご案内していきますので、まだの方はぜひこちらからご登録くださいね。

また、サポート会員のみなさまには、毎月頭、素敵なイラストと共に同テーマに関するハガキをお送りしております。もしご興味ある方は、どうぞこの機会に関心を持っていただけたらなと思います。サポート会員となって、てならい堂の活動を応援していただけたら嬉しく思います!(詳しくはこちら。)

ということで、今月は「受け継いでいく日々」ということに目を向けながら過ごしてみませんか?何から始めようかなと思った方は、まずは本ページを参考にしてみてくださいね。これまでのページもよろしければご覧ください!

今月もみなさまのご参加をお待ちしています!てならいの会場で、神楽坂ストアで、色々とお話ししましょう!

受け継ぐのは簡単ではない
でも、途切れるのは一瞬
何を受け継ぎ、受け継がないか
私たちは選ぶことができる
その選択は、日々続いていく