【てならい後記】ツクリ手のフライパン学
昨日行った【ツクリ手のフライパン学】。つくり手であるMetal NEKOの金子さんに直接、鉄のフライパンの使い方・お手入れのしかたを伺うことができた、とても良い機会でした。
金子さんが目指しているのは「初めての人でも使える鉄のフライパン」。一般的に販売されている鉄のフライパンは使い初めに、焼き入れと油ならしが必要とされています。
この作業の程度が分かりにくかったり、調理をした後のお手入れが上手くできずに次の調理で焦げつきができてしまったり…となって、せっかく買っても使いこなせずに断念してしまう人も多いようです(参加した皆さまの中にもいらっしゃいましたね)。
Metal NEKOのフライパンは、十分な焼き付けを行って何年も使い込んだように仕上げてあるので、鉄のフライパンを初めて手にした人でも無理なく使えるように配慮されています。しかも、一般的にタブーとされている、洗剤を使って洗うことも、このフライパンであればOKとのこと。
金子さんは「自分を入り口として、鉄の道具に興味や愉しさを持ってもらえたら。」と言います。
後半は、なぜ金子さんが鉄に魅せられ、鉄の道具づくりに携わるようになったのかを伺っていきました。
大量生産・大量消費を促していたメーカー勤務時代を経て、「愛着が持てて長く使うことのできるものを、自分自身が作ってお客様に届けたい。」という想いから鍛冶屋を志すように。
その中でも鉄という素材を選んだのは、小さなネジから大きな船にまで使われる制約にとらわれない自由さがある一方で、ガラスや陶磁、他の金属が持つような華やかさはなくどちらかと言えば地味。でも異なる素材同士を繋いだり何かを支えたりすることのできる、人の暮らしを繋げ支えるものとして、鉄に魅せられたのだそうです。
このお話は、金子さんのモノづくりの姿勢ともリンクしてとても深く染み渡りました。
金子さんは“鉄の声を聴く”と言います。素材の特性にしたがって、素材に無理をさせず、それ自体がどんな形になっていきたいかを、鉄に聴きながら作るのだそうです。
そこで、参加した皆さまにも「ご自身のお仕事の中で○○の声を聴く、ことは何かありますか?」という店主からの問いかけ。すると、お客様の声・作る人の声・自分自身の内なる声・身体の声・妻の声…など、どんな職業であっても何かに耳を傾けるということが、より良いものを生み出す力に繋がるのだと思いました。
皆さんは、ご自身の暮らしの中で、何に耳を傾けてどんな声を聴いていますか?
にっぽん てならい堂にいらして、ぜひそんな話も聴かせていただけたら嬉しいです。
Guest speaker:Metal NEKO 金子恭史
Location:家具工房 ACROGE FURNITURE
Special thanks:Metal NEKOのフライパンを、すでに使っている・自分で作った・興味を持っている、皆さま