昔ながらの手作りほうき、中津箒いろいろ。販売しています。
こんにちは。店主の中村です。
てならい堂では4月17,18,24,25日の4日間、中津箒の展示販売会・受注会を開催しています。
店主も(久々に)期間中ずっと在店しています。
この記事では、見どころをお伝えしますね。24日以降はちりとりもありますよ。
今回は、長柄ほうきからミニ小ぼうきまで、様々な種類のほうきが勢ぞろいしているので、ご自身の生活に合わせて、ぴったりの一本を探してみてください。
まずは簡単に中津箒さんのご紹介から。
中津箒をつくる「まちづくり山上さん」は、かつてほうきの一大産地だった、神奈川県愛甲郡愛川町・中津に本拠地を構えています。
量産、海外移転の流れの中で、一時は衰退していた中津箒を現代に復活させるために、まずは原料となるホウキモロコシを栽培するところから中津箒づくりは始まりました。
良いほうき、使いやすいほうき、美しいほうきをつくるために、その原料作りからこだわる中津箒さん。こだわって作った原料を最大限活かすために、細いものや折れたものを選り分けて、さらに柔らかい穂先を生かすためには、なるべき先っぽを切りたくない。なので、同じ長さのものを選ぶことで、無駄に切らない様にしているそうです。
ほうきの穂先をぜひ、触ってみてください。思っているよりもずっと柔らかいです。もちろん柔らかいだけでなく、塵を掻き出すのにちょうど良いコシがあります。ぜひ、実物を触ってみてください。
今回並んでいるほうきを紹介しますね。
まずは一番長い長柄箒。箒の先の束のことを職人さんは“玉”と呼びますが、玉が9つ並んだ幅の最も広いタイプで、広い部屋をしっかりと履くのにぴったりの箒です。魔女みたいな雰囲気のぶどうの木の枝を使ったものと、軽さのある竹の枝のものからお選びいただけます。
つづいては、手箒。部屋の掃除用にはもっともオーソドックスなタイプです。先ほどの長柄箒と比べると、大きい方がもちろん早く終わるわけですが、とはいえちょうど良いサイズ感というのがあると思います。また、自分で持ってみて選んでもらいたいのが、柄の種類。山ふどうの木、竹、そして全てを箒もろこしで編み込んだトモエ箒と呼ばれるものの3種類があります。
山ぶどうの枝は何と言ってもその雰囲気が最高です。竹の柄は枝のものと比較してみるとやっぱり軽く、女性に人気です。これがトモエ箒になるとさらに軽いので、持ってみて「軽い!」と驚かれることも多いです。けれどやっぱり好みは人それぞれ。適度に重さがある方が良いという方も多いので、ご自身で持って確かめてもらいたいです。
ホウキモロコシのほうきがかつて重宝されたのは、穂先に含む油が畳を長持ちさせてくれたから。現代のおうちには畳張りの和室は減っていますが、もし畳があるおうちにお住まいならば、畳のお手入れとしても、ホウキモロコシの箒を使わない手はないと思います。もちろん、フローリングや絨毯でも、ほうきをすでに使っている先輩たちに聞くと、その威力を十分に感じていると聞きましたよ。
ここまでご紹介した長ものシリーズは、受注にてお受けしています。毎年収穫できるホウキモロコシの分しか作れない中津箒。昨年獲れたホウキモロコシも残りわずかとなったため、今度の夏に収穫されたもので、ご注文いただいたお客さんのためにそれぞれ作ってもらいます。
待ち時間はできてしまいますが、考えてみれば随分ぜいたくな話。なんせ注文を受けて、タネをまくところからですから(笑)。その分持ち手の種類や、編む糸の色まで、ご自身のお好みで選んでもらえます。お渡しは10月末頃。待つ時間もまた良いものですよ。
さて、ここから先の小さいサイズは、お店にある現品をお持ち帰りいただけます。(ご希望あれば、オーダーもお受けします。)
手ぼうきよりもひとまわり小さい小箒は、小さな部屋などをさっと掃くのに便利なサイズ。子供さんと一緒に掃除するのにお子さん専用にしても可愛いと思いますよ。
さらに小さいさいずのななめ小箒は、40cm,20cm,18cm,12cmの4種類。どれもどう使っても自由ではありますが、40cmのものはベッドやソファー、車のなかなどを掃くのにちょうど良いサイズ。20cm以下のものは机の上や棚など、細かいところ掃く用途に。20cmと18cmとかって本当に微妙な差なんですが、そこもまた細やかなモノづくりの賜物。持ってみてのお好みで選んでください。
ななめ小箒と似たサイズ感で、洋服用箒を7つ玉と5つ玉の2種類ご用意しています。7つ玉は穂先の束が7つあるということ。玉の数が多いほどに掻き出す力が強くなります。洋服などのファブリックは、板や畳と比べて抵抗が強い分、掻き出す力も強い力が求められので、用途を踏まえて作り分けてくれています。とはいえもちろん、机の上などに転用してもOKです。
最後に筒型の2種類。筒型箒は、窓のサンや隙間など細かいところを掃き出すのに便利な形。パソコンのキーボードなどにも使えます。ちょっと短めの筒型ほうきがコーヒーミル専用箒。ミルには豆を挽いた後のカスが静電気でぴっちりついちゃいますが、これを掻き出すために、穂先を短くして結んで、こちらも細いながらに掻き出す力を強くする工夫がされています。とはいえもちろん、こちらも何に使ってもOK。携帯すると言っていたお客さんもいましたよ。
もうひとつお伝えしておきたいのが、ほうきを編み込む糸の色。この糸も中津箒の職人さんたちが基本的には草木染めで染めている糸です。色は藍で染めた「濃い青」と「薄い青」、ホウキモロコシのタネで染めた「薄いピンク」(個人的には薄いベージュっぽいかと思います)、茜を使った「濃いピンク」、山葡萄の皮を使った「濃いベージュ」、煤(すす)で染めた「グレー」、そして「黒」と「白」の全何色だろう(笑)、たくさんあります。えっと8色ですね。
オーダーの場合はこれらから選ぶことはもちろん、2色まで組み合わせることもできます。なお、自然の素材を使って染めているため、見本とは微妙に色合いが違ってくると思いますが、ご了承ください。
今回てならい堂に並ぶほうきは全て、職人小林さんの作品。小林さんは中津箒の職人さんの中でも編み込みの美しさに定評のある職人さん。「使いたくなる道具」をつくりたいと話す小林さん。「美しい方が手に取りたくなるじゃないですか」と。
話を聞いてから見れば見るほどに、自分がいかに漫然と道具を使っていたかと、はっとさせられます。「こだわって作ってる」とはよく聞く言葉ですが、何のためのこだわりなのか、それが私たちが使うためのこだわりであるといことを知った時に、やはり道具との向き合い方は変わります。それはひいては私たちの生活を見直すことにつながるように思います。
24日土曜日はワークショップもあり、小林さんが在店していますので、ぜひつくり手と直接お話ししに来てください。
あ、24日以降はちりとりもたくさん用意してありますよ。
中津箒の展示販売会、4日間限定ですので、ぜひお越しください。
<中津箒の販売会・受注会。時間と場所>
4/17(土),18(日),24(土),25(日)
13時-18時
新宿区横寺町30茶の木テラス202
神楽坂駅、牛込神楽坂駅から徒歩
眼鏡屋さんカメマンネンの2Fです。