【てならい後記】ひみつの小店ではじめての鋳物体験
こんにちは。てならい堂スタッフの村上です。
梅雨が明けて、からっと暑い夏がやってきましたね。くれぐれも熱中症にはお気を付けください。
7月から神楽坂のてならい堂のひみつの小店では、「はじめての錫(すず)の鋳物ワークショップ」が始まりました。錫を溶かして、かわいいスプーンを作っていきます。
砂を指でぎゅっぎゅっと押し固めて型を作っていくので、これが意外と体力勝負です!笑
モノの姿が変わっていく様子を体感できる、鋳物体験の様子をお届けします。
最初「鋳物」と聞いてもあまりピンとこなかったのですが、鋳物とは、溶かした金属を鋳型に流して固めて作る、”鋳造技術”で作った金属製品のことだそう。伝統工芸だと、岩手の南部鉄器などがありますね。
このワークショップでは、江戸時代の始めから鋳物で栄えた街である、富山県高岡のつくり手から譲り受けた錫の鋳物の道具一式を使います。
まずは、型となるスプーンを木枠の中に置き、スプーンの木枠いっぱいに砂をふるって、指で押し詰めていきます。
砂はルトロンサンドという、油が入っている固まりやすい砂を使用しています。ここでしっかりとスプーンの周りを固めて、スプーンを取り除いた時にぽっかりと型が砂に残るようにします。
強く押しすぎてもスプーンが動いてしまったり、弱く押しすぎても砂がきちんと固まらなかったりと、力加減が意外と難しいです。そして何より、思っている以上に沢山の砂を詰めなければいけません。
もういいかなと思っても、押してみるとまだまだ砂が入ったりします。笑
「思ったより疲れます!でも、なんだか子供の頃を思い出します。」と参加者の方。皆さま、少しおしゃべりしながらも、黙々と作業を行っていました。少人数での開催なので、しっかり集中して作業を行う事ができます。
木枠いっぱいに砂を詰め終わったら、ひっくり返してもう一つの木枠を重ねて、更に砂を詰めていきます。皆さま二段目の木枠の時はスピードが上がっていました。
この時に錫の通り道となる「湯道」の型をとるために、細長い筒を立てるのですが、細くて安定させるのが難しく、更にデリケートな力加減が必要になってきます。最後は木の棒でトントンと押して隙間をなくしていきます。
土入れが完了したら、型の完成まであともう一息。重ねた木枠を開け型用のスプーンを取り出して、型を整えていきます。
湯道と型をつなぐ溝を掘っていくのですが、こちらがなかなか繊細な作業。うまく掘らないと錫が型に届かず途中で固まってしまいます。
溝が掘れたら、ブロワー(スポイトのような空気を送り込む道具)や刷毛を使って余分な粒子を取り除き、再度型を合わせます。型の凹凸が合うように、こちらもけっこう気を遣います。「緊張する・・・!」とちょっとドキドキする一瞬。
輪ゴムでしっかり固定したら、ようやく型の完成です!
完成した型に、いよいよ錫を流し込んでいきます。
「しっかり流れこみますように・・・!」スタッフもこの時が一番緊張します。
錫が固まるまで、お茶を飲みつつ、5分ほど待ちます。さて、気になる仕上がりは・・・
「おぉ~!」「よかった・・・!ちゃんと形になってる!」「すご~い」土入れの苦労もあり、やはり皆さんこの瞬間が一番盛り上がります。ちなみに7月の成功率は100%!実はスタッフ側も毎回ドキドキしているので、成功すると嬉しい限りです。笑
無事、完成したスプーンを取り出して、最後はやすりがけの工程です。
湯道分の錫を切り離したら、糸鋸やペンチで輪郭を整えて、やすりで表面を磨いていきます。磨けば磨くほど綺麗になっていくので、ハマる方はかなり熱心に磨いてくれていました。
「こんな感じで作れちゃうんですね。」「今まで説明を聞いてもピンとこなかったけど、やってみてやっとイメージがつかめました!」「もっと磨いて、アイスを食べてみたいです。」など、嬉しい感想もいただき、体験終了です。
自分たちがレクチャーするのは初めての試みだったので、実はスタッフ側もドキドキしていたのですが、皆さま楽しんでいただけたみたいで、とても嬉しいと同時に、ほっとしました。
参加者の皆さま、ありがとうございました!
8月も、小店のオープン日(水・土・日)に体験を受付中です。意外と手軽で、思ったより難しい鋳物のスプーンづくり。夏休みの思い出に、ぜひ一度体験してみてくださいね。
お申し込みはこちらからどうぞ。