【てならい後記】初めてのしっかり金継ぎ教室。2023秋~4回目~
こんにちは。てならい堂スタッフの五十嵐です。
しっかり金継ぎ教室は、てらない堂の人気コースのひとつ。今回は、全8回にわたって行われるこの教室の、4回目のおはなしです。
3回目に続き、今回もアマノ先生の教室をご紹介します。この日は、はじまる前から先生を交えてわいわいとにぎやかです。それもそのはず、いよいよ仕上げの色を決める回なんですね。
金、銀、弁柄などで彩られた器を思い描きながら、先生のアドバイスを参考に仕上げの種類を決めていきました。
完成品をイメージしたところで、さっそく本日の手仕事のはじまりです。
前回までで、すでに割れと欠けの下地はできています。今回は下地の表面を研ぎ、その上に漆を塗るという工程です。
まずは紙やすりや彫刻刀を使って、下地の部分を研ぐ作業からはじまりました。
前回と同様に紙やすりだけでなく、トクサでつくられた天然素材のヤスリも使いましたよ。
形状にあわせて道具を変えながら、慎重に研いでいきます。ここからしばらく、てならい堂にはシャカ、シャカ、シャカ、という音だけが響きわたっていました。
「先生、ここは削りすぎですか?」
「ちょっとボコボコしてるような……」
こんなお声がぽつりぽつりと聞こえるようになると、みなさんの緊張の糸が少し緩み、お話も楽しみながら作業をしていましたね。
割れや欠けの形状や位置によって、進み具合に差がでるところではありますが、先生にしっかりと確認してもらい、下地を研ぐ作業が完了しました!
下地がきれいになったところで、器はもちろん、作業台のガラス板や机のまわりの細かなカスなども、きれいに拭きとっておきます。次に登場する漆にゴミが混ざらないよう、みなさん細心の注意を払っていました。
いよいよ漆を塗る段階になると、なんだか完成にぐっと近づいた気がしますが、この漆を塗るという作業は、今回を含めて3回にわたって行われます。
漆の塗り残しがないように、また、きれいな仕上げとなるように、その都度漆の色を選んで塗っていきます。
使った筆は、水彩画用の極細の絵筆。こんなにも細い筆を手にする機会は、めったにないのではないでしょうか。さらに、普段先生が使っている超極細の筆や、猫の毛でできた柔らかい筆も見せていただきましたよ。
いろいろな道具に触れることで、自然と知識も深まりますね。
それにしても、この細い筆でねっとりとした漆を扱うのはとても難しそう……という不安を払拭すべく、まずは感覚をつかむための練習です!
・筆に漆を含ませすぎない(漆でぷっくりさせない)
・筆を動かすときはゆっくりと
・長い線が難しければ、短い線の端と端を少し重ねて1本の線に
・小指でしっかりと支えながら塗る
先生からこのようなコツを伝授してもらいながら、ガラス板に細い線をたくさん引きました。
準備が整ったら、呼吸も整えて、いざ本番です!
「あ~、息が止まっちゃう!」
呼吸をするのも忘れるほど集中していたみなさん。このひと言で、肩の力が抜けて、笑顔がこぼれました。これは金継ぎあるあるですね〜、なんてお声も聞かれましたよ。
また、湯呑やコップなど、内側の深い部分を塗るのが難しかったり、欠けの部分を均一に塗るのに苦戦したりする方も。
でも、そんなときの救世主はアマノ先生。細やかな目配りと軽快なフットワークで、器と真剣に向き合うみなさんにすぐさま駆け寄り、助けてくれました。
先生の丁寧な指導と、みなさんの集中力がきらりと光った4回目。次回もこの学びを活かして、漆の塗りを楽しんでいきましょう!