【てならい後記】深める金継ぎと初めての蒔絵教室(欠け編)第二回
こんにちは。てならい堂店主の中村です。
今日も秋晴れ。「深める金継ぎと初めての蒔絵教室」の2回目ですが、なんと本日11/13は「漆の日」だそうで、最高のお日柄ですね。
教室は先週、欠けた部分を埋めた「こくそ漆」を研ぐところから始まりますが、その間にも今日もまずは行庵さんの滑らかなトーク。
今日の作業では、前回のこくその上に錆漆を塗り重ねていきます。これは本堅地(ほんかたじ)と呼ばれる下地の作り方に基づいてます。
行庵さんのお話では、そもそも各地でバラバラだった漆の下地の作り方に、松田権六という蒔絵師の方、漆聖とも言われる方が、初めて全国に散らばる漆の技法を体系化し、「これがスタンダードじゃない?」というものを作ったそうです。
そこでまとめられたのが本堅地という下地のつくり方で、器に対して、木固め、下地、錆うるし、黒漆の順に塗り固めていくことで、堅牢さを出すやり方だそうです。
もちろん、これに対してそもそも各地の歴史があって、今でもさまざまなやり方が取られている訳ですが、我々素人がその全てを学ぶことはできませんから、そいうした体系に触れることはとっても貴重で大切なことだなあと思いました。
前回のこくそを研ぐ(削っていく)作業では、まずは平になるまで、慎重にデザインナイフを使って削っていきます。この後錆漆で調整するので、デコボコが残らないように、削っていきます。気をつけなきゃいけないのは、力を入れすぎて全て剥がれないようにすること。
削り終わったら、今回は研の粉(とのこ)と生漆を混ぜて、錆うるしを作ります。研の粉は、粘土を乾燥させて粉にしたものです。
前回のこくそ漆と比べると、目が細かいものになります。ざっくりしたイメージですが、漆の作業は何度も作業を重ねますが、最初は粗いものから、だんだんときめの細かいものを塗り重ねていくようです。その方が仕上がりは滑らかになるはずですもんね。
ということでとの粉にも目の粗いもの、細かいものがあって、粗いものは赤っぽく、細かいものは白っぽくなるそうで、赤研の粉、黄研の粉、白研の粉と種類があるそうです。奥が深い。
今回は黄研の粉を使って錆を作り、これを専用のヘラで塗り重ねていきます。専用ヘラと言いましたが、ペースト上のサビをくっつけるのに、作業しやすいものを選ぶということですね。
錆漆を塗り終えたら、器の作業は終了。今週はクルミのブローチに蒔絵を施していくべく、今日は生漆を吸わせていきます。これを木固めと言います。
こちらのブローチには、蒔絵を施していく訳ですが、蒔絵も各地で技法が様々、なんと900種類にもなるそうです。
なぜそうなったかと言えば、各地のお殿様が「他にない技法を開発せよ!」と競って号令をかけたから。これに応えようと職人が豊かな発想で、そのオリジナルな技法をあみだ出したそうです。
今週はここまで、また来月に続きます。