【てならい後記】深める金継ぎと初めての蒔絵教室(欠け編)第三回
こんにちは。にっぽん てならい堂店主の中村です。
中2週間を開けて、今日は深める金継ぎと初めての蒔絵教室の3回目です。
朝、会場に来ると1Fのお花屋さんqivacoさんがご近所さんとお花談義。温かい街角の風景。
前回までは本堅地(ほんかたじ)と呼ばれる技法に沿って、1回目に木固めと下地作り(こくそ)、2回目に錆漆を塗り重ねて、と進めてきました。
3回目の今日は、前回の錆漆を研いで整えた後、その上に黒漆を塗っていく下塗りと呼ばれる工程です。
まずは、研ぎから。この研ぎの作業、意外にしっかりと時間がかかります。
最初にまず、極端に凸凹したところをデザインナイフで削ります。ナイフを使うと、作業は早いですが、その分削りすぎに注意。思い切りのいい人ほど、要注意ですね。
次に、スポンジヤスリと耐水ペーパーを使って丁寧に磨いていきます。
目指すのは、まっ平らよりも、ちょっとふっくらとした状態。
デコボコはだめ、へこんでたらだめ、平らでもだめ。一言で言えば、ふっくらした「きれいなライン」を目指します。「きれいなライン」は経験を積むと分かってきます。
綺麗なラインを狙って、2度3度と錆漆を重ねることもあるそうですが、そもそも上手くなると、一発でびたーっと綺麗なラインを作れるそう。
参加者の中でも、最初の錆漆の塗り具合がすごくうまく行って、ほとんど研ぐ必要のない人もいました。
水研ぎをしたので、ここで器が乾くまで、蒔絵についての講義。
平蒔絵、高蒔絵、研ぎ出し蒔絵、それぞれの違いをホワイトボードで解説してもらいます。それから蒔絵に使う金粉の違いについてもご紹介。一口に金粉と言っても、消粉、丸粉、梨地粉、平目粉、平極粉、、、沼ですね。金粉沼。
けれど現物を見せてもらうと、確かに違う。形状によって輝きが違います。蒔絵では技法によって使い分けつつ、どれも最後はしっかりと輝くように。それはつまり「光を集める形」に整えること、のようです。光るってそういうことなんだなあ、と。
器が乾いたところで、今日は黒呂色漆を使って中塗りです。錆漆の上に黒い漆を塗ると、下地のデコボコがびっくりするくらい、目立つそうです。それゆえに丁寧な研ぎの作業が必要なんですね。
薄く、黒呂色漆を塗っていきます。はみ出さないように、ビッタビタのラインを狙います。髪の毛一本の余白も残さないように。これは目に来るね。
さて、一方の蒔絵のブローチ。こちらも前回、下地固めをしてましすので、ここに黒呂色漆で、下塗りします。基本的に生漆を使うのは、下地の時だけで、その後で漆を塗るときは色漆を使うんですね。
同じ工程で進んでいくところを見ると、ああ金継ぎは蒔絵の応用なんだなあということがまた実感されます。
ということで今週はここまで。次回に続きます。