こんにちは。にっぽん てならい堂店主の中村です。

深める金継ぎと初めての蒔絵教室(欠け編)もいよいよあと2回。

改めてこの教室についてですが、金継ぎと蒔絵のブローチを同時に進めています。同時とは言え、蒔絵のブローチが一回先行。なので、本番の金継ぎ(一応メインは金継ぎ教室です)でやる行程を、一度ブローチで先行体験して、その後本番で実施という流れを繰り返してきました。

なので、今回金継ぎで行う「固め」の作業も、前回の蒔絵で一度体験済みです。

なんですけど、横で見てるだけの私は毎回「なんだっけ。」ってなって、前回の記事を読み返して、「ああそうだった」ってなってます。うーん記録しておいて良かったな。

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今月の虚空庵さんのしつらえは歳寒三友の一つ、梅の木。すでに咲いてる蕾もありました。

ということで、金継ぎの器に前回蒔いた錫粉、金粉を次回研ぐ(磨く)ために、しっかり固定するべく上から漆を塗って固めます。

この時、錫・銀は黒漆で、金は梨地漆(黄色系の色が入った漆)で固めると、色が綺麗に映えるそうです。けれども他のパターンもあって、梨地漆も早く乾かしすぎると真っ黒になっちゃう、金を朱系の下地漆で固めると赤金になる、、、などなど、どうやらこの先にも果てしない荒野が広がっているようです。

ポイントは、とにかくうすーく塗ること。この後表面を削るので、厚く塗ると削り出すのが大変になるんですね。けれども初心者にはそのうすーくって感覚が難しい。

そんな時は、一度塗ってティッシュで押さえ拭きをするという裏技。もちろん職人さんはしませんが、私たち素人が、足りない技術を補える工夫ってのがあるんですね。そんな工夫も柔軟に教えてくれる行庵先生です。

うすーく塗って、ティッシュで押さえて、どうやらムラなく塗れてるようならOK。風呂で乾かして、次回実施の最終行程「研ぎ」を待ちます。

緑、黄色、どっちのお皿も金継ぎが映えます。素敵。

緑、黄色、どっちのお皿も金継ぎが映えます。素敵。

一方のブローチの方は、その研ぎの作業へ。

前回金属粉を固めるためにミクロン単位で塗った漆を、やすりで削って、表面を平らに滑らかに、そして金属が光り輝くように磨いていきます。

まず金属粉全体が均一に磨けるために最も重要なことは、そもそも丸粉が平らに並んでいること。そのためには粉を蒔く下地が平らであること。下地が重要と何度何度も言われてきた意味がここにあります。

表面についた漆を削って、綺麗に磨けた金属の表面が露出している状態を100%とすると、100を超えると、せっかく蒔いた粉を全て突き破って、下地が見えてしまいます。

こちらが50%くらいの状態、実物見るとやや金属感がで始める感じ。伝わるかなー

こちらが50%くらいの状態、実物見るとやや金属感がで始める感じ。伝わるかなー

そして、表面を滑らかにするためには、最初はスポンジやすり、続いて研磨剤を指につけて磨き、最後に磨き粉(磨き用の細かい金属粉)で磨いていくことで、表面を滑らかに綺麗にしていきます。木工などで紙やすりを使うときにも、目の粗さを粗いものから徐々に細かいものに変えていくのと同じ要領ですね。

つまり3回の磨き行程全てを行う必要があるので、最初のスポンジやすりで100%削っちゃうと、後の2工程で間違いなく、金属粉を突き破ってしまいます。

なので、最初の狙いは50%。その後の研磨剤、磨き粉で25%25%で100%を目指すイメージです。ってミクロン単位の漆の25%を削れって言われても、、、これはもうほんと熟練するしかないですね。

とはいえ、皆さん恐る恐る磨いていると、段々と金属の輝きが出てきて、なるほど確かにそこに薄ーい膜があって、それを磨くことができるんだということが分かってくる。

と言って、油断すると、あっという間に「あ、やりすぎですね」って言われちゃう。

むずかしーなー。けどそこがいいですね。そして、なんかんやで皆さんのブローチは錫の輝きでもって、素敵に仕上がったわけです。

こちらは銀箔を貼ってみる。贅沢な遊び。

こちらは銀箔を貼ってみる。贅沢な遊び。

さらには、磨き以外で金箔の仕上げや朱塗の仕上げにした人もいて、この華やかさは本当に蒔絵の醍醐味。てならい堂のワークショップは、形をつくるものが多いので、こういった加飾の「柄」をつくる、そしてその多様性を楽しめるという点では、今までにない機会に溢れた教室な気がします。

この他にも教室の最中には、「友継ぎ」や「切金」などあまり馴染みのない、けれども素晴らしい工芸の話や、お茶の世界の話など、日本の文化全般について、知らないことがたくさん聞けて毎回楽しくアテンドさせてもらってます。

そんな教室もいよいよ残り一回。次回は金継ぎの器を研いで完成となる、はず、です。ではまた。

仕上がった蒔絵ブローチのこのバリエーション。たのし。

仕上がった蒔絵ブローチのこのバリエーション。たのし。