【てならい後記】深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室(割れ編・欠け編)22年7月期。第2回
こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。
だるまがドデン!と鎮座したひみつの小店。ちょっとずつ増えているだるま達に気づいた方…その答えは今後のお楽しみに♪
第二回目の今日は、行庵先生から「金継ぎが完成して嬉しくてすぐご使用いただくことがあると思いますが、日が経つごとに漆が硬化し強度が増してくるので出来れば1ヶ月は眺めるだけにしておいて欲しい…!」と、そんなお話も交えながら接着したての器の作業がスタート。
【割れ編の工程】接着した割れの器にルーターをかけ、欠けにこくそ漆を塗り成形する。
前回、麦漆で接着した器の接着箇所にルーターをかけ強度を上げるためホゾを切っていきます。
ルーターは内側を削る時は特に、器の後ろに指を回して支えながらかけることが大切。麦漆は接着して1ヶ月後にようやく強度が増してくるので、乾いているとはいえ割れの接着が取れやすいことは忘れないようにしましょう!
余分な麦漆をナイフで研ぎ、ほぞを切っていくのですが、こちらの器のは漆の食いつきが良いので「浅めのホゾでも大丈夫ですよ」と、行庵先生。
次に小さな欠けがある器に、こくそ漆を作って埋めていきます。
まず少量器の断面にこくそ漆を塗り、その後欠けを埋めるのにちょうど良いくらいのこくそ漆をひと塊りで置くのがポイント!
ヘラを綺麗にして、水をつけ押しながらならして、最後は手袋の指で成形していくと良いそう。
ブローチの方は、螺鈿の説明から。
民藝の螺鈿と漆芸の螺鈿は異なるところがあり、漆芸では青く光る部分だけを選別し、さらに光るものだけを使います。この選別する工程で、なんと貝の7割も使えなくなってしまうんですって…!
早速、螺鈿を施したい箇所に黒漆を塗り、竹串を使って夜光貝の粒を置いていきます。
細かい作業はお好きだという初参加の生徒さんは、すでに螺鈿にハマりそうな予感が…!
【欠け編の工程】こくそ漆を水研ぎして錆漆を盛る。
前回成形した欠けのこくそ漆を、ペーパーやすりにしっかり水をつけ、研ぎ汁を拭きながら研いでいきます。ペーパーやすりは折り角を出して研ぐと小さな欠けにも細かく当てられます。
研いで下準備が整ったら、錆漆を作っていきます。この「錆漆」を今回2種作るのですが、なぜかと言うと「欠け」・「ヒビ」の箇所それぞれで配合が異なる錆漆を使うから。
基本の錆漆は砥の粉・地の粉の両方を使いますが、ヒビ用は地の粉を入れずに作ります。そうすることで、伸びが良くヒビに入りやすい(塗りやすい)錆漆になります。
錆漆を盛る前に写真を撮っておいて、欠けの箇所を記録しておくと、塗った後に削ったり研ぐときにどこまでが欠けの場所か判断しやすくなるのでおすすめです◎
前回欠けを埋めたこくそ漆の上に、錆漆を筆で少しふっくらと盛っていきます。
米粒大の欠けは錆漆をふっくら盛っておくとワンポイントのように可愛く仕上がります。必ず、しっかり押し付けて接着しましょう。
次に、ヒビに地の粉を入れてない錆漆を塗っていきます。釉薬をよく見て染み込みやすい器にはマスキングテープを忘れずに貼りましょう。
今日の作業はここまで。
最後に筆洗いの(筆のお手入れ)方法や、生徒さんの手板を拭き漆にしていく方法なども改めて教わり、知ること盛りだくさんの教室でした!次回も楽しみです。