【てならい後記】深める金継ぎと深みにハマる蒔絵教室(割れ編・欠け編)22年7月期。第3回
こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。
8月に入り暑さが増す一方ですが、生徒さんの暑さ対策グッズに興味津々の私。。次の回では取り入れているかもしれません!
さて第三回目の今日は、錆漆作り、中塗りの工程に進んでいきます。徐々に仕上げに向けて下地を整えていく作業です。
器により、「錆漆」の代わりにゲル状の漆を2度塗りするという、少しイレギュラーの工程を行庵先生に説明してもらいました。金継ぎをする上で、知っていると良いと感じたのでお伝えしたいと思います。
無釉の器は、漆を吸ってしまうのでこくそ漆で接着した後は錆漆を塗らずに、古い漆(粘度が高く半ゲル状になったもの)を使います。半ゲル状になった漆は、塗った形で厚く盛り上げることが出来るので、2回塗り重ねることで錆漆を塗った状態と同じような盛り上げになるそう。ただ、この作業とっても難しく先生でも1時間はかかってしまうという難易度の高さ…!初めて金継ぎをされる方に釉薬がしっかり入った器をおすすめする理由もここにあります。
【割れ編の工程】麦漆を研いで錆漆を作り塗る。
麦漆をスポンジ漆で水研ぎするところから始めていきます。
前回もルーターは使ってホゾを切っていたのですが、よ〜く見ると割れの接着した先にうっすらとヒビが!透明釉がかかっている器だったので、スミを使ってチェックします。
続いて、錆漆を作っていきます。
砥の粉+四辺地+水を練って生漆を加えます。
粉末のものはそのまま漆に混ぜず、必ず水を加えてペースト状にしてから混ぜます。
出来た錆漆を塗っていくのですが、ここでもポイントが。
器の糸尻は、釉薬がかかってないので出来るだけ漆が広がらない様に塗ること!錆漆がはみ出たところは、ティッシュを綺麗に畳んだ腹の部分で拭き取っておきましょう。その後に、ホワイトガソリンをつけて溝に入らない様に周りを拭きます。
割れやヒビの接着面に錆漆を塗るのは筆、欠けにはヘラが使いやすいとのこと。縁にも錆漆を盛っていきます。
最初にお伝えした、無釉の器は少し研いで、通常の黒漆で中塗りの作業を。
一方のブローチ。黒漆を木地に吸わせて次回まで乾かしておきます。
【欠け編の工程】錆漆を研いで黒漆で中塗りをする。
前回、指でならして出来るだけ凸凹のないよう錆漆を盛った欠けの箇所はしっかり乾いて研げる状態に。早速、スポンジやすりで水研ぎをしていきます。
綺麗に研げたら、黒漆で中塗りの作業に。
乾かす向きを確認して、漆が下に垂れてくる方は薄めに塗っておくように先読みすることも作業手順として大切だそう。なるほど〜!
皆さん、少しずつ塗る厚さが掴めてきて、集中して進めていました。器の柄と線を書く場所が馴染んでしまうので、分かりづらくて大変そうです…
そしてブローチは、私も初めて目にする「卵殻」を使った蒔絵にチャレンジする方も。
卵殻って…?!実は「うずらの卵の殻」なのですが、下処理して純白になった殻の内側に漆を塗ってある状態のものを使います。純白は漆では表現できない色のため、白を表現する際には、この卵殻が用いられるそう。
これから卵殻を施して「白」が映えるハチワレ猫ちゃんに!
今日の作業はここまで。
金継ぎと蒔絵の世界がまた広がります。次回も楽しみです!