【てならい後記】深める金継ぎと初めての蒔絵教室(欠け編・割れ編)22年春。最終回
こんにちは。てならい堂スタッフの松本です。
朝から蒸しあつ〜い。。うつむきがちにひみつの小店の階段を上がろうした視線の先には、たくさんのベリーが実をつけていました!
さて最終回の今日は、「研ぎ・胴ずり・磨き上げ」の作業をしていきます。
今日の工程としては、スポンジ磨きで50〜60%、コンパウンドで胴ずり20%、残りの20%は輝き方の好みで仕上げていく。この最初の60%研ぐ作業が分かりずらいので、スポンジの番手を3つに分けて研いでいくことで、研ぎ破らずに全体を研いでいくことを目指します。
【欠け編】ブローチと器をスポンジで研いで、コンパウンドで磨く。
器の曲線の方が難しいので先に、ブローチの平面を研ぐことで慣れておきます。
まず、1200番のスポンジで乾研ぎをし、少しずつ錫がキラッと光って見えてくるところは研げているので、そこ以外の黒い部分を次は1500番のスポンジで狙って研いでいきます。
生徒さんの粉固めが丁寧だったので、今回は1500番で綺麗に研げているのを先生に確認してもらい、コンパウンドで磨く作業に入っていきます。
指に少量のコンパウンド取り、刷り込むように伸ばしてティッシュで拭き上げながら、輝きを確認しつつ仕上げていきます。
100点に近い!初めてでこれはすごい!!と大絶賛の蒔絵ブローチに。
この感覚を忘れないうちに、立体で難易度はあがる器も研いでいきます。
影か、研ぎ破りか…?!疑心暗鬼になりながらも、丁寧に1200番のスポンジで磨いていきます。
それでも、そのくらい慎重な気持ちが仕上げには必要とのこと。
蒔絵は使っているうちに手艶で少しずつ色や艶が上がってくるので、それを見越して仕上がりを85%くらいであえて止めておくのもあり。最初から100%で仕上げるのではなく、経年変化を楽しめるのも良いところ。
欠け編の皆さま、お疲れ様でした。
【割れ編】器をスポンジで研いで、コンパウンドで磨く。ブローチに仕上げを施す。
器をスポンジやすりで少し白っぽくなるように全体を優しく研ぎます。大事なことは、1200番のやすりの時点で銀色に輝くところまで磨かないこと。「黒い点が出てしまった!」そんな時は研ぎ破った可能性が高いので行庵先生にチェックしてもらいます。
続いて、コンパウンドを少量指につけて、器を支えながらしっかり磨いていきます。コンパウンドは出ている金属を光らせるための磨き粉なので、あまり研ぎ破りは心配しなくて良いそう。
磨き上げたら不思議なことに、同じタイミングで錫粉を蒔いて仕上げた平皿に現れた錫の色味が違うんです!行庵先生曰く、ビギナーズラックとも言える黒みがかった渋い錫の輝きに。湯呑みの銀色も素敵な色合い。
螺鈿のブローチは、同じくコンパウンドで磨いてそれぞれお好みの仕上げを施していきます。
完成した金継ぎの器とブローチを前に皆さんのご様子を見ていると、達成感と共に「こうすればもっと良くなったはず…!」という悔しさもあるようで、その気持ちを忘れずに続けていただくことが上達への近道なぁと改めて感じました。
「金継ぎはあくまで、古傷を見えずらくしているだけで完治したわけではない。古傷があると思って丁寧に扱ってもらい、持続的に治して(直して)あげることを忘れないでください。」と行庵先生。これは“金継ぎは完成して終わり”ではないという、忘れてはいけない大事なこと。これからも生徒さんがご自身で金継ぎを続けていく時の器との付き合い方として、お話しいただきました。
金継ぎの技術を身につけると同時に、改めてモノを大切に扱う心の鍛錬にもつながっている気がしています。
最速の2ヶ月間という期間で学んでいただいた皆さん、行庵先生ありがとうございました。