【てならい後記】深める金継ぎと初めての蒔絵教室(割れ編)第二回
こんにちは。にっぽんてならい堂の松本です。
虚空庵では、風をよく通す簾(すだれ)でも踊るほどの突風。まさに春の嵐!
さて、「深める金継ぎと初めての蒔絵教室(割れ編)」の2回目。
前回、麦漆を練って接着していきましたが、今日はその漆の上に足場を足すように“ほぞを切る”作業から始めます。浸水する様な湯呑みやマグカップなどは、日常よく使うので強度を保つためにもおすすめとのこと。
ルーターの使い方と作業見本を行庵先生から教わり、実際にそれぞれ皆さんの器でほぞを切っていきます。
ここでのポイントは、器物の内側から作業すること。麦漆で接着したとはいえ削る力が加わるこの工程では、再び割れることが無いように慎重になぞるような線を意識します。縁の削りは爪が引っかかるくらいが良いとのこと。削り終えたら、スポンジで削った面を軽く研ぎ整えておきます。
皆さんの思い入れのある器たち。行庵先生から焼き物の特徴を伺いながら、それぞれの器物に合った手直しの方法・漆との相性などを学んでいきます。手に馴染みの良い質感の陶器は漆を吸い込みやすいので、錆漆を塗る前にしっかりとマスキングテープを貼ること。光沢があるような半磁器や磁器は漆が定着しにくい=取りやすいなどなど。さすがです!
次に、錆漆を作ります。前回の麦漆が接着剤としたら、錆漆はパテ剤に近いと行庵先生。
今回は黄砥の粉(赤→黄→白の順で粒子が細かくなります)に水と四辺地を加え混ぜ合わせ、ある程度この水ねりの“錆”段階で硬さを調整します。
この加減はやはり何度も経験を重ね、自らの匙加減を身体に覚えさせることが重要なんですね。
さらに漆を入れ混ぜると徐々に乾燥して硬くなってきます。混ぜる漆の量は、水ねりの“錆”に対して半分~1/3くらいが良いそう。器に塗る間も乾くので、錆漆は2/3ラップに包んで取っておくと後々使いやすいので忘れずに!
いよいよ、錆漆を塗っていきます。
筆付けとヘラ付けがあり、内側など塗りづらい箇所は筆を使います。ヘラは難易度が高いものの、外の面には塗りやすいこともあるとのこと。裏技として行庵先生が教えてくれたのは、指を使って塗る方法。さすがに、かぶれ予防で手袋をしているので、塗りやすいかはその方次第なところもあるのですが、湯呑みの様に小さく内側が見えずらいものや、ヒビが多く筆ではなかなか思うように塗れない時など指先の感覚を頼るのも一つ。
最後に、マスキングテープを剥がし余分な漆を拭き取って終了です。
今週はここまで。次回はいよいよブローチやお箸の蒔絵と螺鈿についても学んでいきます。