【てならい後記】味噌蔵で味噌屋さんと仕込む!手前味噌ワークショップ@新潟
こんにちは。てならい堂店主の中村です。
週末は新潟へ行ってきました。
オープンの年から取り組んできた新潟の団四郎味噌さんとの手前味噌仕込みのワークショップ。ずーっと味噌蔵現地へお邪魔して実施したいと思っていましたが、ついに十年越しで実現しました!
今回は団四郎味噌さんの地元でのワークショップに、てならい堂もお邪魔させていただく形で開催しました。ということで当日は総勢40名を超える大人数!
ご家族連れが多く、皆でわいわいと味噌仕込みをした様子をレポートしますよ。
あ、ちなみにまだ今年味噌仕込んでなかった!という方、今週末4月28日に神楽坂でも出張味噌仕込みワークショップ開催。まだ間に合いますよ!
今回はまず最初に、てならい堂特別企画として、糀ムロを見学させていただきました。
店主も何度かお邪魔したことはあるのですが、仕込み期間に中を見せてもらうのは初めて。糀の発酵のために、温度管理がされていて、ムロの中はあたたかい!
糀は発酵して、熱を持ちますが、熱くなりすぎると菌が死滅してしまうので、定期的に手でかき混ぜます。これが意外と重労働。暖かいムロの中での作業は汗だくになってしまうほどです。
そして特別に発酵中の糀を試食させてもらいました!
甘い!お米ですからね。元はお米を炊くのではなく、蒸したものなので、軽く芯が残ってます。噛めば噛むほど、甘みが広がってきます。
3日ほど発酵させたのち、前日に煮出した大豆と合わせて、味噌として仕込まれてきます。
続いて、その大豆を煮出す和釜を見せてもらいました。
団四郎味噌の美味しさの秘密はなんと言ってもこの和窯。100年以上使われている鉄製の大きな和釜で煮ることで、大豆の甘みが引き出されています。
こちらの大豆も試食させてもらいましたが、やはりふっくらと甘い!食べ出したら止まらなくなる味ですね。
ところが、、、この和釜についに、穴が開いてしまったのだそう、、、いろんな専門家に見てもらいましたが、直せる人はおらず、、、泣く泣くこの伝統ある和釜を諦めて、来シーズンは新たに南部鉄器の大釜を新設するそう。
ここ50年くらいの間に、日本全国の味噌蔵に近代化の波が押し寄せ、多くの蔵ではこうした昔ながらの手法から、早く多く作れる近代的な機械式の釜が導入されていきました。
「元からあんまりたくさん作ってなかったんでねー。単に乗り遅れちゃったんじゃないですかねー。笑」と語るのは、現4代目の藤井康代さん。
どうして機械化の波に乗らなったかったのか、本当の理由はわかりませんが、その後もむやみやたらに量を増やすことを志向せず、昔ながらの時間をかける味噌仕込みのやり方を守ってきました。
家族の範囲でできる量を、美味しさの質にこだわって仕込み続ける、そういうやり方を3代目、4代目と意思を持って引き継がれていることを、てならい堂はずっと見てきました。
だから他のつくり手であれば、和釜に穴があいてしまっったところで、機械化するかこの機に辞めてしまうかということを選んでしまいそうなところを、敢えて新しい和釜をつくることを選択されたのだと思います。
「今までよりももっと美味しくなるといいな」と話す藤井さん。新しい和釜の味噌も楽しみです。
さて、そんな特別な味噌蔵見学をさせてもらった後は、いよいよ仕込みイベントの開始。
まずは、ビデオで実際の味噌仕込みの様子を説明してもらってから、みんなでワイワイ味噌仕込み。
今回はおひとり5kg。神楽坂での出張ワークショップでは1kgですからその5倍。仕込み前の大豆は3kg。これが発酵することで、全部で5kgの味噌になります。
作業自体はとっても単純。樽に水と塩と先ほどみた糀、そして先ほどの和釜で昨日煮た大豆を手で混ぜ合わせていくだけです。だから小さなお子さんでもワイワイと楽しめるんですね。
混ぜ合わせた後の熟成期間は1年間!味噌は冬場に仕込むことが多いのですが、暑い夏を越すことが大事なので、それゆえにもちろん春のこの時期でもちゃんと、美味しいお味噌が毎年できています。
仕込みが終わったら、団四郎味噌の特製豚汁が振る舞われました。他にも、味噌や味噌を使った商品の仕込みも。甘酒も試飲させてもらいましたよ。
思い思いに味噌蔵を見学し、思い思いに質問をして、解散です。
てならい堂限定の選べるお土産、二十年味噌もしくは金印銀印の味噌セットをお持ち帰りいただきました。今回、実は結構お買い得な体験となっていたんですけど、あんまり言ってなかったなこれ。笑
団四郎さんは元々は農家。周りの家の味噌も一緒に仕込んでいるうちに、味噌蔵に変わっていったそうで、だからこうして近所の人たちが毎年、味噌を仕込みに来るというのも、団四郎さんらしい取り組みなんじゃないかなーと思います。
埼玉から車で3時間かけてきてくれたてならい堂の常連ご夫婦も「はるばる来た甲斐があった」と言ってくれました。今日はこのまま新潟で一泊されるそう。
毎年続けてきた団四郎味噌さんとのワークショップですが、やっぱり現地でしか伝えられないことがあるんですよね。
派手な観光地とかがあるわけではありません。ものづくりをきっかけに、ただ人を訪ねに行く様な感覚。
店主は、団四郎味噌さんに伺う前に、新しく取引を始める砥石屋さんと、以前にワークショップをご一緒してた玉川堂さんの番頭さんにちょこっと挨拶してきました。
そんな風に、ちょっと挨拶する程度でよくて。そうやっていろんな土地土地で、挨拶できる人に挨拶する旅って、なかなかいいものだと思うんですよね。
だから、そうやって土地のつくり手にちょっと挨拶できる様になる機会を、てならい堂は提供しているつもりです。ぜひ皆さんも、ちょっと離れた土地のてならいにも参加してみてください。
さて、来週は団四郎味噌の4代目・藤井ゆたかさんが、東京に来てくれます。
(4/28 開催の神楽坂出張ワークショップはこちらから!)
東京でつくり手と知り合って、話をして、来年こそ新潟へ行きませんか!