【てならい後記】つくり手とつくる“いちょうのまな板/山桜のカッティングボード”ワークショップ
こんにちは。てならい堂スタッフの五十嵐です。
秋らしい空気に包まれた10月の連休初日。穏やかな光がさしこむてならい堂で開催されたのは、「つくり手とつくる “いちょうのまな板/山桜のカッティングボード”ワークショップ」です。
ご参加のみなさまには、まな板かカッティングボードのどちらかを事前に選んでもらいました。
最後の「仕上げ」を待ちわびる道具たちを前に、期待がふくらみます。
教えてくれるのは「woodpecker」の福井賢治さん。福井さんは、木工業がさかんな岐阜県で「つかい手の暮らしに寄り添う木の道具」をつくり続けています。
今回参加された方のなかにも、実際に福井さんのまな板を使っているという方や、「Instagramをフォローしてます!」という方もいましたよ。
まずはまな板、カッティングボード、それぞれの特徴について教えてもらいます。
まな板に使われているのは、いちょうの一枚板。柔らかな材質で、包丁の刃にもやさしいのだそう。木目も美しく、思わず撫でたくなるようなすべすべの手触りです。
一方、カッティングボードに使われているのは山桜。パンやチーズ用ナイフのギザギザとした刃もしっかりと受け止める、頑丈な木材です。
そしていよいよ、手仕事のはじまりです! 小刀やかんなで板の角を削り、やすりでなめらかに仕上げていきます。
小刀を使う工程では、これまでの和やかなムードから一転、みなさん作業に没入していました。
木目には「倣い目(ならいめ)」と「逆目(さかめ)」があり、逆目に沿って無理に削ると、削り跡がガサガサとささくれたようになってしまうそうです。
特に小さな持ち手には角度があるので、カーブに沿って削るのに苦戦される方も。
小刀の刃が思うように進まないと、次第にしんと静かになっていきますが……
「こうなったときが、一番盛り上がっているということですね」という福井さんのひと言には、みなさん思わず笑みがこぼれていましたね。
板の直線部分には、かんながかけられます。みなさん初めての体験でしたが、とてもお上手!
「かんな気持ちいい〜」「家でもやりたい」なんてお声もあがりました。小刀を使う緊張感を、かんな体験がすっかりほぐしてくれたようです。
こうして削った部分は、やすりでなめらかに仕上げていきます。
みるみる美しくなっていくまな板とカッティングボード。みなさんのほっとした表情も印象的でした。
工程はこれだけではありません。焼きペンを使って、文字やイラストも入れられます。
かんなと同じく、ここでもみなさんの才能が存分に発揮されていました! 素敵な文字や図案に彩られ、よりいっそう愛着のわく道具となったのではないでしょうか。
さらにカッティングボードは最後の仕上げとして、天然オイルでコーティングするという工程があります。
塗った瞬間にがらりと変わる趣きに、「すてき~!」と感嘆の声があがりました。
仕上げだけ、とあなどるなかれ。個性豊かな自分だけのまな板、カッティングボードが完成しました。
最後に福井さんから、お手入れについてのお話がありました。まな板は使用頻度が高く、乾ききる前に使いはじめることも多いもの。しかし、黒ずみなどの変色を防ぐためには、洗った後はしっかりと乾かすことが大切だそうです。
木の個性を知り、木の感触を味わいながらつくったまな板とカッティングボード。ご自宅では、トントントン、と心地よい音を立てているのではないでしょうか。
木の道具について、たくさんのお話を聞かせてくれた福井さん、ありがとうございました。
そして、ご参加のみなさま、ありがとうございました!
おひとりで、ご友人と、ご夫婦で、と、さまざまな方と一緒に体験したワークショップは、楽しく豊かな時間となりました。