こんにちは。
てならい堂スタッフの五十嵐です。

木工業が盛んな岐阜県本巣郡に工房を構えるwoodpeckerさんは、いちょうの木のまな板をはじめとする、生活に寄り添うさまざまな木製品を生み出しています。本日はwoodpeckerの代表、福井さんに教えてもらう、木のまな板ワークショップをご紹介します!

はじめに行われたのは「木のまな板診断会」。参加者さんにおうちで大切に使っているまな板も持ってきてもらって、福井さんになんでも相談してみよう、というワークショップです。この日は3名の参加者さんが来てくれましたが、まな板はまさに三者三様! ひとりずつまな板を紹介し、お互いに大切なまな板を見せあいました。

大きなまな板の重さをみなさんで確認。

・コンパクトなサイズで使いやすく、なんと30年以上これひとつでなんでも切ってきました!というまな板。

・もともとwoodpeckerさんのまな板を使っていて、削り直しもお願いしながら、大事に使ってきたまな板。

・とても立派なサイズで厚みもあり、かたちも少しユニーク。なかなか他ではお見かけしないまな板。

みなさんがどんなふうに暮らし、どんなふうに大切にしてきたのかが垣間見れる、楽しく温かい時間となりましたね。

福井さんのお話に聞き入るみなさん。

福井さんからは、ワークショップの冒頭に「ちゃんとしたまな板は黒くなるものなんです」とお話がありました。防腐剤も漂白剤も使用していないから、黒くなるのだそう。そして、この黒い部分は体には無害なんだそうです。「害があったら、私、ここに来れてませんからね」と福井さん。(笑)

もちろん、きちんとお手入れすることで、黒くなりにくくすることは可能です。でも、黒ずんでしまったら、その面を削ってお直しをすれば、またきれいな姿に戻ります。(厚みは少し薄くなりますが……)

woodpeckerさんのまな板は、削り直して使うことを想定した厚みで作られています。この日も、実際に削り直して使っていますという方がいたので、じっくり見せてもらいました。
新しいものと比べると少し薄くはなっていましたが、とってもきれいなまな板でしたよ。

上の小さいサイズが削り直しをしたことのあるまな板だそう。

この日は特別に、woodpeckerさん以外のまな板もお直しをお願いできる貴重な機会! みなさん大切なわが子に旅をさせる気持ち(?)で、福井さんにお願いすることになりましたよ。

でも、どうぞ安心して、生まれ変わったまな板を楽しみに待っていてくださいね。

ご参加、ありがとうございました!

 

診断会のあとは、いよいよまな板づくりのワークショップです。

woodpeckerさんの「いちょうのまな板」の角を小刀で削り、かんなややすりも使いながらなめらかに仕上げていこう、というワークショップ。最後には焼きペンで刻印もできるんですよ。

まな板に使われているのはいちょうの木の一枚板です。厚みがあって木目が美しく、包丁の刃をやさしく受け止める柔らかい材質。ずっとなでていたくなるような、なんとも心地よい感触でした。

仕上げ前ですが、表面はすべすべで美しい!

まずは小刀を使って、まな板の角を丁寧に削っていきます。木目には「倣い目(ならいめ)」と「逆目(さかめ)」があります。逆目で削ろうとすると、小刀がうまく滑らず、削り跡もガサガサになってしまいます。そんな時は方向をまな板の向きを変え、持つ体勢を変え、するっと小刀が進む倣い目を探してみましょう。

みなさんそれぞれに、削りやすい体勢を模索しています……。

シンプルな工程なんですが、これがなかなか難しい! みなさん「あっ!」とか「あれ?」とか「ここ難しい……」とか、自分自身と対話しながら(笑)、一生懸命削っていました。 特に持ち手の部分はカーブの角度があって、難しかったのではないでしょうか。 それでも順調に角がとれてきました。

ここで、息抜きもかねて、福井さんの指導でかんな体験をしてもらいましたよ。
トンと当てて、シュッっと削るんだそうです。福井さんの削る姿を見ていたら、なんだかとても簡単そう。

「あれ?削れてます??」
「音を聞いてくださいね、この音。これが削れている証拠です」
「……」
「……」

何事にもコツがありますね。最初はうまくいかなくても、道具をよく見て、触れて、何度も使っていくうちに、感覚がつかめるようになります。かんなの削り方も、みなさんすぐに慣れて、木を削る心地よい音が響いていました。

小刀とかんなで角がとれたら、次はやすりでなめらかに仕上げていきましょう! 多少ガサガサしていた部分も、やすりで丁寧に削ったら、すべすべになりましたね。みるみる美しくなったまな板を見て、みなさんほっと一安心。そして最後は焼きペンを使って刻印をしていきます。

イラストもかわいい!

こちらは”推し”のアルバム名! 使うたびに楽しくなりますね。

こちらはみなさん得意な様子で、一発勝負なのに動きにまったく迷いがない! あっという間にオリジナルのまな板が完成しました。まな板だけでも十分素敵ですが、刻印を入れるとがらりと雰囲気が変わり、ぐっとおしゃれ度が上がります。みなさんのうれしそうな笑顔をみて、とても幸せな気持ちになりました。

最後に福井さんから、まな板のお手入れ方法を教えてもらいました。
一番大事なことは、しっかりと乾かすこと。衣類と一緒で、清潔でしっかり乾いている状態が長ければ長いほどよいということですね。そのために、朝と夜で使うまな板を分けたり、野菜と肉・魚で使う面を固定させるのもおすすめだそうです。 殺菌については、熱湯も効果的。肉・魚で使ったときは、洗剤と柔らかいたわしでよく洗い、水分が流れ落ちやすいように、木目を縦にして立て掛けて乾かすとよいそうです。

これから長い長いお付き合いとなるまな板。大切に、心地よく使っていくために、みなさん真剣に聞き入っていましたね。

みなさんのキッチンでの相棒となる、新たなまな板の誕生に立ち会えて、とても楽しかったです。

教えてくれた福井さん、参加してくれたみなさん、本当にありがとうございました!

 

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