てならい堂スタッフの伊勢です。3月に入ってやっと暖かい日が出てきましたね、でも朝のふとんからはなかなか出られそうにない今日この頃。。。まだ寒い朝には熱い白湯で体を温めてから動き出します。

さて、お湯を沸かす薬缶作りにも使われる技術、鍛金。金属を叩いてモノを作ってみた私の話をしてみたいと思います。

img_3262

そもそも、私はインテリアの設計のお仕事をしてるのですが、毎日パソコンと睨めっこ、完成したお店も流行り廃りと共に作りかえられ捨てられていく、デザインを考える楽しさももちろんあるけど、やっぱりなんだか自分ごとではなくポツンと置いてけぼりにされる感覚がありました。

自分の手の中で、手を動かすことでモノを作りたい想いに駆られ、金属を通してモノ作りをする人になりたい、と少しずつではありますが銅を使って制作してます。

kami9

何を作ろうかなと、1歳半になる息子がいるのですがモグモグ自分でフォークやスプーンを使って食べます。市販のものはちょっとサイズが長くて口に運びずらそう、もう少し小さめのフォークを息子のために作ろうと思いたち制作スタート。

サイズやフォークの先端のデザインを検討して銅板に型紙を書き写し、切り出します。火でなまして(金属を熱で柔らかくします)当金を使って叩いて立体にしていきます。

口が痛くならないように、やすりで丁寧に角を削って完成!木のカトラリーも良いけど、金属のフォークって食材が刺しやすくて食べやすい印象。。。うんうん、よく食べるように、、、ならないね!上手に口まで運べるようになったけど、食べない時は食べない。1歳半ってそういうもんですかねー。

私が金属で面白いと思うのは、あんなに硬いのに熱を当てるとグニャっと柔らかくなり、叩くことで引き締まって固まる。素材を加工するときの面白さ、そしてもう一つは経年変化していく面白さ。

これは通っていた工房にあった何十年も使ってるらしい銅のお皿。自然発生した緑青、とっても綺麗ですよね。

img_0307-2

こっちはアロマ置きに使ってる銅の小皿。3年近く使ってますが緑青はちょっとしか育ってません。緑青は銅が水や空気に触れることで自然にできる皮膜。もちろん育ちやすい環境下に置いた方が緑青が出ますが、長い月日がいるようです。(後ろにうっすら映ってるのは緑青を人工的に作ってみたもの。色が全然違うんですよ。)

img_0307-2

時間をかけて暮らすことってなんだろうと、ぽっと頭に浮かんでは消えての日々を過ごしました。今回その思いを持ちながら道具を作ってみて、より良くする事、なのかなと。時間をかけずに適当なもので済ますことも出来るけど、どうしたらもっと良くなるか、じっくり考えて子供のためのフォークを作りました。息子が使う姿を想像しながら作るのはなんだか良い時間だったなー。

時間をかけて作りたいもの、皆さんはありますか?何を作りたいか考えると、自分が大切にしたい事、興味がある事が見えてきますよね。ぜひじっくり自分と向き合って、楽しんで、時間をかけてモノづくりしてみてくださいね。