【てならい後記】裂き織りワークショップ。モノを愛おしむ気持ちを映す北国の手仕事、「裂き織り」を学ぶ。
気持ちよく晴れ、通りも賑わう週末。神楽坂ストアではどこか懐かしい機織りの音が、サー、トントン、と小気味よく響いていました。
こんにちは。てならい堂スタッフのまるです。
毎年恒例、2日間の裂き織りワークショップを開催しました!今回は、盛岡から幸呼来(さっこら)Japanの代表石頭さん、スタッフの畑川さんにお越しいただきました。
裂き織りの技法でランチョンマットを織り上げていくワークショップ。色柄の出し方や力の入れ具合で全然違う出来上がりになるのが楽しい!そして織り上がりがとにかくかわいい!みなさんそれぞれ素敵なランチョンマットができましたよ。
「裂き織り」は、衣服や布団などの使い古した布を、ひも状に細く裂いて、緯糸として織り上げる技法。
特に東北では綿花の栽培や木綿の入手が難しかったため、貴重な布地を最後まで使い切る暮らしの知恵として、盛んに作られていました。
ワークショップの冒頭。石頭さんの言葉が印象的でした。
「ずっと着ていたおばあちゃんの着物を、孫が直して着る。着られなくなっても違う形で使う。世代を超えて、家族の愛情がいっぱいこもった織物なんです。」
誰かのぬくもりがあるものを受け継ぐ。それを持ってるだけで優しくなれたり、ちょっと勇気が出たりしますよね。
裂き織りを教えていただく幸呼来japanは、「裂き織で障がい者の雇用の場をつくり、地域の伝統技術を未来につなぎたい」という思いで事業をスタートされました。幸呼来japanで働く自閉症の方たちは、妥協を許さずこだわって織るそうで、実際に商品を見ても、織り上がりの目がかなり細かくて綺麗なんです。
まずは、すでに裂いてある経糸用の生地を選んでいきます。染め損じの生地やデニム工場の残反などの”もったいない”生地がずらり。
太鼓や踊りのパレードが見どころの盛岡さんさ踊りで着られた浴衣の生地もたくさん。まつりに参加するデパートや銀行などの地元企業さんの浴衣が多く、色も柄も基本派手!だから織るのが楽しいんです。
色や太さが均一な市販の糸とは異なり、生地、色合い、太さが多様なのが、裂き織りの難しくて楽しいところ。かわいくて選ぶの時間かかるよねぇ、とみなさん織り上がりを想像しながら選びました。
最初は、ランチョンマットの端の部分を綿糸でしっかり織っていきます。ここは機織りに慣れる時間も兼ねているので、みなさん真剣。最後も同じ工程なので、幅を覚えておきます。
慣れてきたら、いよいよ裂き織りの生地を織っていきますよ。板杼(いたひ)という道具に生地を巻いて、右から左から、上を通して下を通して、ごっちゃにならないように板杼を順番に通していきます。
同時に、一段一段丁寧にトントン、トントン、と目を詰めながら織り込んでいきます。ここの生地の出方や目の詰め具合で、十人十色の風合いが生まれるんです。
この布で10cmくらい織りたいから何巻きくらいかな、、思ってたより赤が出てきた!とそれぞれ自分のペースで織り進めていきます。
傍から見ての感じですが、機織りはリズムが大事っぽいです。慣れてリズムを掴んでくると速く綺麗に、さらにサー、トントン、の音も綺麗に心地よく聞こえてくる気がします。
細い糸だと全然進まないんだろうけれど、裂き織り生地は織り上がっていくのが目に見えてわかるので、それも楽しいです。絹などの細い糸を手織りで織り上げる方々へのリスペクトも感じながら、織り進めます。
色味や質感を小刻みに切り替えられるのが、裂き織りの醍醐味です。裂いた生地の撚りの味を楽しむ、浴衣の柄や色を楽しむ、目の細かさや癖を楽しむ。
両端の折り返しの部分(耳)にどれだけ生地を出すかも自分次第。想像以上に出すぎちゃった、、と長めに出た耳もチャームポイントに。
時間も迫り、ラストスパートです!
ランチョンマットの全貌が見えてきて、みなさんそれぞれ喜びの声があがります!すでに愛着が湧きますよね。
最後は、最初と同じく綿糸に戻して、端をしっかり織ります。機織り機から切り離したら、等間隔で玉結びをして房をつくっていきます。
早まる気持ちを抑えつつ、完成までもう少し、、
完成したランチョンマットは、ぬくもりを感じる素敵な仕上がりでした。盛岡の風土やこの日みなさんが感じたものが、ぎゅっと織り込まれている様でした。
最初より目が細かくなっていたり、歪みがなくなっていたり。みなさんが明らかに上達しているのが、ランチョンマット1枚の中で見られるのもおもしろかったです。
ご参加いただいたみなさん、幸呼来Japanの石頭さん、畑川さん、ありがとうございました!