【てならい後記】服を染め直して、育てていく。藍の染め替えワークショップ。2024初夏
こんにちは。
てならい堂スタッフの五十嵐です。
夏日が数日続いていた5月の初旬。新宿は落合にある「染の里おちあい」さんの門をくぐると、青々とした藍の葉がお庭で出迎えてくれました。
この日開催されたのは、藍の染め替えワークショップ。おうちから持ってきた服を、おちあいさんが用意してくれた藍の染料で染め直していきます。
満席で行われることも多い染めのワークショップ。でも、この日の参加者さんは2名、しかもお二人ともすでに藍染めの経験者さん……ということで、染めの超初心者である私も一緒に参加させてもらいました!
まずは職人の小川さんから、藍染めについてのお話を聞きます。と、その前に。いつも楽しく分かりやすく教えてくれる小川さん。今日は「この色はどれでしょう?クイズ」を用意してくれました!
どの布がどの染料を使って染めたものなのかを当てていきます。染料は、柿渋、玉ねぎ、コーラ、虫(!)、琉球藍などなど。びっくりしたものもありましたが、ほぼほぼ正解しましたよ。(笑)
染めって奥が深いですね〜と盛り上がったところで、藍染めについての座学がはじまりました。日本の藍染めで使われるのは、9割くらいがタデ科の蓼藍。その他には、沖縄で生産されているキツネノマゴ科の琉球藍があります。同じ藍でも、染料の製法においては、小川さんいわく「にんじんとナスくらい違う」のだそうです。
座学のあとは、いよいよ実践。まずは服を水に浸しておきます。
今回の染料は、あらかじめ職人さんにつくってもらったもの。表面にはぶくぶくと細かい泡がたっています。空気にふれて酸化しているということですね。この泡も藍色で美しいのですが、色が濃くなってしまうので、いったん、取り除きます。
そして、最初に水につけておいた服を浸します。染料に浸したら、なるべく空気に触れさせず、容器の底にも付けず、ふわふわと泳がせるのが均一に染めるコツだそう。経験者のお二人は手際よく、優雅に泳がせています。さすがです。
私はといえば、パリッとした風合いのコットンシャツだったので、ふわふわさせるのに苦戦しました……。布地の目がつまっているので、空気が入ると抜けにくいのです。終始ポコポコともぐらたたきをしていました。(笑)
この日は曇り空でしたが、暑くもなく寒くもなく、屋外での手仕事にはぴったりの気温。チャプチャプと染料に浸しては水で洗うという作業が、なんとも心地よかったです。
でも、ぼーっとしていてはいけません(もちろん私だけです!)。染料に浸す時間や回数によって、染まり具合に変化があらわれるので、しっかりと状態をチェックします。といっても、乾かしてみないと分からないところもあり、自分の感覚で、これくらいかな、というところで取り出して、まずは水洗いをしてみました。
これでOK!となったら、色止めのための酢酸水へ浸します。もう完成は目前。すでに様変わりしている自分の服に、ワクワクがとまりません。
「きれいに染まりましたねー!」
「すこし色が違う部分もすてきですね。」
「思っていたよりしっかり染まりました!」
と、みんなで感想を言い合いながら、仕上がった服を干していきました。
もとの色が濃い色合いだったり、綿麻や、薄手の綿だったりと、生地の違いで染まり方も変わってきます。同じ染料ですが、個性豊かな藍色が並びましたよ。
並んだ服は、お気に入りのシャツやジャケット、汚れるのが気になってなかなか着ることができなかったブラウス。この日、藍の染め替えによって、出番が増えることは間違いなしですね。
「藍染めはその時によっていろんな色が生まれるんです。本当に楽しいですよ。」
「これでいつでもブラウスが着られます!」
と、にこやかにお話してくれたお二人。一緒に体験できて、本当に楽しかったです。
ありがとうございました!
そしていつも楽しく教えてくれる小川さん、ありがとうございました。
全身藍染めの服(靴も!)、とてもすてきでした!
おわりに……
夏に行われる、「藍の生葉染め」のストールをご紹介。この日、小川さんが見せてくれました。 同じ生葉染めでも、葉の状態や染料に浸す時間によって、やはり違いが表れます。今回はどんな仕上がりになるか、楽しみにしていてくださいね!