【てならい後記】刀鍛冶技法を受け継ぐ職人から学ぶ、包丁作り2022/10/30
みなさんこんにちは、スタッフのまつもです。
昨年の10月末に千葉県成田市の正次郎鋏刃物工芸にて「 包丁づくりワークショップ」が開催されました。
投稿がだいぶん遅くなってしまいましたが…😥
ご紹介させていただきます!!
工房の中に入ると鋏の工程見本がありました。工程の多さに驚きです。
今回はスタッフの私も包丁づくりに参加させていただきました。
熱い鉄をたたくことはあまり経験できない体験なのでとても楽しみでした。
先生は前回から引き続き教えてくださっている、正次郎鋏刃物工芸の石塚祥二朗さんです。
正次郎鋏刃物工芸の歴史は、江戸時代に遡ります。「総火造り」といわれる技術を継承し、型を使用せずに熱した鉄をたたいて形を作る技法は、日本刀の製造に用いられていた技術です。
今回の包丁づくりもこの「総火造り」の技術を体験させていただきます。
午前中は包丁の研ぎをレクチャー。
片刃の包丁、 両刃の包丁とそれぞれ研ぎ方を教えていただきました。
刃が研げているかは、刃の返りを指の感覚と目で見て確認します。
荒砥石から中砥石、 仕上げの砥石も使わせていただき研ぎの感覚の違いを感じました。
自宅で研ぐ時におすすめな人工砥石や普段見ることのない天然砥石も見せていただいたり、新聞紙の鞘の折り方も教えて頂きました。継続するために大切なことですね。
新聞紙で保存すると、湿度もちょうどよく保たれ、 新聞のインクで程よく油分が付き錆びにくくなるのだそうです。
盛りだくさんでしたが、午前の部は終わり。お昼休憩は皆さんとご飯を食べながら午前中に感じたことなどを話しながら、午後から作る包丁の柄を選びました。
包丁は3種類の柄から選ぶことができます。
写真の順に軟鉄のみの黒文字、竹、槐(黒い部分は水牛の角)それぞれ味わいがあってどれにするか迷いました。参加者の皆さんも手に持つことをシュミレーションしながら決めていました。
午後はいよいよ包丁づくりを行います!
まず、 棒状の軟鉄に鋼がつけられた状態のものが1人ずつ配られます。
これを叩いて包丁にしていきます。まずは、熱して叩ける状態まで温度を上げていきます。
見た目で叩けるかどうかを判断しないといけないのでとても難 しかったです。
熱しすぎると鋼が溶け出してしまうので様子を見ながら温めていきます。
全体を叩きながら根元をしっかり叩き伸ばします。
両手を動かすのでとても大変でした。包丁の全体像が見えにくく、恐る恐る叩いていました。
その後、全体を更に薄く伸ばすために師匠側の先生( 刃物の位置を動かす役割)と、
弟子側の参加者(鉄鎚で叩く役割)に分かれて作業を行います。
鉄鎚が重いので叩き続けるのが大変でしたが、 包丁がグングン伸びているのを感じられました。
その後、柄の部分をカットして全体の形を整えます。
同じように叩いていても段階によって刃物の中で起こっていることが違うのだそうです。
①根元から叩く(地金と鋼をくっつける)
②横に伸ばす(地金と鋼を境目を壊す)
③形を整える(地金と鋼を混じり合わせる)
この3つの事を頭に入れながらきれいな形を作るのは本当に難しくて、経験を重ねることでしか身に付けることのできない高度な技術なのだなと実感しました。
最後は先生に手伝っていただきながら形の調整を再度行って、自分の気に入った形を 作っていきます。
包丁の形になって来ました。
今回体験できるのはここまで。
この後、「焼き入れ」「研ぎ」などの仕上げを先生に行っていただき時間をかけて仕上げていただきました。
そして完成したものがこちらになります!!
自分が体験して作ったとは思えないくらい綺麗に仕上げていただきました。
私は、野菜や果物を切るのに使っていこうと思っています♪
正次郎鋏刃物工芸の石塚祥二朗さん、奥様、本当に貴重な体験をさせていただきありがとうございました。そして体験していただいた皆様、ありがとうございました。
素敵な包丁ライフを楽しみましょう!
次回開催のときにはまたHPでお知らせしますので、参加希望の方は、お知らせメールが便利です◎