こんにちは!てならい堂スタッフのひかるです。

2/1~2/2にシマタニ昇龍工房の島谷さん「おりん」ワークショップが開催されました。
今回は2/2の最後のワークショップ「お話し会」の様子をお届けします(^^♪

他のワークショップでは体験をメインとした回でしたが、お話し会では「おりん」の歴史や制作過程について詳しくお話しいただきます。

参加された方は、「おりんの購入を迷っている」「作り手の想いを聞きたい」「おりんヒーリングをサロンの仕事に取り入れようか検討している」など様々な理由があってご参加されていました。

早速、「おりん」制作について説明…の前に実際に「おりん」を持ってみましょう!
金属なので、さぞかし重いのでは??と思いきや…皆さんの反応は意外と軽い!
「おりん」は上のヘリ部分に真鍮を厚く凝縮しており、他の部分は薄いのです。
※上部のヘリ部分
「おりん」制作においてヘリの部分を作るのが一番大事で、竿の状態の真鍮を叩いてまげて形を作ります。ヘリの部分を曲げ、形ができたら胴体と底部分と繋げると「おりん」の形が出来上がります。
※「おりん」の胴体部分

※上部のヘリ、そして胴体と底部分を繋げると「おりん」の形が出来上がります。

形をつくるのはそこまで難しくないようなのですが、この後の工程“音の調整”が一番の腕の見せ所…!「おりん」の内外を叩いて音を調整して、聞いて叩いて…その「おりん」にとっての一番良い音の波紋を探します。

音??波紋??どうやって聞くのだろう…と思われる方も多いのではないでしょうか?
私も最初に聞いた時は全くイメージが湧かなかったのですが、調整する際の音の捉え方について島谷さんが教えてくれました。

昇龍の「おりん」音には【甲・乙・聞】の3つの音があります。
【甲(カン)】の音は、「おりん」を打った瞬間に出る「カ~ン」となる音。
【乙(オツ)】の音は、「ワ~ン、ワ~ン」と鳴る中域の音。
【聞(モン)】は最後まで鳴っている「モ~ン、モ~ン」という音です。

【乙】はうねりが早く、音が高い。【聞】はうねりがゆっくりとした音で、この2つの音を調音の時は聞き比べて、バランスを調整します。

サイズごとに最適な音があり、かたちによっても個性があるので、都度音の波紋を聞いて調整します。調音は、職人の勘のみを頼りに「おりん」の縁の内外を金槌で木槌で叩き、音を聴き、また叩いては音を聴く、その繰り返しによって、この3つの音の調和のとれた音を導きだす作業で、3つの音それぞれ別々の音の波長を整えていきます。

修得には10年以上の歳月を要し、多くの時間と繊細な感性という技量が求められます!!
修得に要する長い時間や、職人ならではの感覚の重要性について島谷さんご本人から伺うことで、技術の奥深さや、島谷さんが制作される「おりん」の持つ価値を改めて感じることができました。

お話し会の締めくくりに皆さんの感想をお伺いすると「自分の耳と感覚で作っている音だとは知らなかった」「仏具のイメージだったが、使い方で生活が豊かになりそう」「おりんの個性は職人の感性が生きている証拠」「おりん愛が深まった。現地に行ってみたい」というお声をいただきました。

皆さんの感想を受けて、島谷さんも「今回のワークショップを通して、皆さんが「おりん」に興味を持ってくれて嬉しい。仕事を頑張ろうと思いました。」と話していました。

今回の「おりん」のワークショップでは、実際にお使いになる方と制作されている職人お方がそれぞれの価値を共有できる貴重で素敵な機会となりました。

新しい文化が生まれ、これまでの文化が薄まっていく変化が起こっている中で、今まで使われていきたものが使われなくなる。それに伴いい技術が失われてしまうこともあります。しかし、その技術は本物で、長い歴史を通じて守られてきたものです。

この技術が今までとは違う形で日常に取り入れられ、次の世代に受け継がれていくとしたら、皆さんの暮らしを豊かにするのであれば、それは本当に素敵なことだなと感じました(^^♪