【てならいのタネ】その5。木の道具と仲良くなるコツ〜前編〜。
こんにちは。“てならいのタネ”シリーズ、第5回の公開です。
今週から数回にわたり、”道具”についていただいた質問やその魅力について、つくり手さんから伺ったお話を交えてご紹介していきます。今週は、木の道具について。
木のお箸、お皿、おぼん、トレー、まな板、カトラリー、洗濯板、箱、神棚、脚立、神仏具、御神輿、仏像・・・などなど。私たちの身の回りには、昔から、木の道具が生活の中で使われてきました。今でこそ、プラスチックや金属に変わったものもありますが、自然素材のものって、やっぱりなんかいいな、と惹かれて気になっている方も多いのではないかと思います。
でも、なんかいいなとは思いつつ、実際手入れとか大変そう・・・なんて不安に思い、なかなか手が出せないって方もいるのではないでしょうか。私も、なるべく木のものを生活に取り入れたいなぁと思っても、実際に使いこなせるかな、と不安に思うこともあります。
そこで、岐阜で木のまな板などのものづくりをされている、woodpeckerの福井さんに、木の道具のお手入れや上手な付き合い方について、あれこれお話を伺ってきました!木の道具の魅力について、「実際に手に触れたりすると温もりがあって、それぞれ木目も違うし、生き物だから親みもある」と語る福井さん。つい最近も、てならい堂でこんなイベントをご一緒しておりました。→https://www.tenaraido.jp/tenarai/online_woodpecker/
お話をうけ、木の道具と仲良くなるコツをこれからみなさんにもご紹介していきますので、これを読んで、ちょっとでもみなさんが木の道具への親しみを深めるきっかけになったら嬉しいです。
「僕ら人間の都合で木材になった以上は、樹木じゃなくなってしまうので、自然に生えてた時と違った、木材としての手入れをしてあげないといけない。木材は、それがどんな道具になるかで、利用価値や耐久年数も変わってきます。本当は上手に使っていくと長く使っていけるのに、経験や知識がなかったりすると、長持ちがしなかったりもする。」と福井さん。
そうなんです。だからこそ、木の道具とうまく付き合っていくためには、私たちは、お手入れの方法を学んでいかなければなと思います。そして、お手入れの前に、そもそも木の性質について、もう少し知っておかないといけないのだなと思います。
ということで、木の道具と仲良くなるコツを、順番にご紹介していきますね。
■仲良くなるコツその1:
木の性質についてまず知る!
①木は反る性質がある。
木の表側と裏側では収束力が違うため、縮み具合も違います。そのため、木はだんだんと反っていきます。「板」という漢字は「木」が「反る」と書きますよね。反ってしまうとすごい力が働くので、なるべく分厚く乾燥した一枚板を使うと、反りにくくなります。
②板には”一枚板”と”繋げ合わせたもの”とがある。
例えばテーブルなど、天然木やオーク材などの一枚板ででてきたものと、短冊みたいな小さな木をそれぞれ繋ぎ合わせてできたものがあります。繋ぎ合わせた場合、正面から見た時には普通ですが、木の年輪はそれぞれ違うので、くっつけたた部分をよく見ると不自然に見えます。ですが、テーブとして使う分には全然問題ありません。
③木の硬さは道具によって使い分けている。
しゃもじ、まな板、檜風呂などは、檜などの柔らかい木でつくられ、比較的水に強くオイルを塗っていないものがほとんどです。反対に、桜などの硬い木は、オイルを塗ってるものが多いです。硬い木はを油分を持ってなくて水捌けが悪いため、オイルが塗ってあります。硬い木は、椅子や家具など、フローリングなどに使われることが多いです。木のお皿なども、フォークなどが刺さって傷が付きやすいので硬い木の場合が多いです。
④木は水分が苦手。
主に台所周りで使うことのある道具は、黒ずんでくるのが心配だと思いますが、黒ずみは水分が一番の問題です。水場で使うし、使った後に洗うのでどうしても濡れてしまう。なので使う以上は黒ずみ問題はどうしてもつきまといますが、それをそのままにしないというのが、一番大事です。なるべく水気を乾燥させていてる時間を増やすことが大事です。
⑤木は過乾燥も苦手。
一方で、乾かしすぎもよくないです。あまり直射日光にあてないこと。物によっては、上に塗った塗装が剥がれてきたり、つなぎ合わせている部分が剥がれくる可能性もあります。割れたり、反ったりすることもあるので、乾燥し過ぎも要注意です。
■仲良くなるコツその2:
木の立場になって考えてみる!
上記のような木の性質をみてみると、濡らしたままもダメだし、乾燥させすぎもダメだし、難しいな・・・。そう思われるかもしれませんが、例えば、自分のことに置き換えて考えてみるとイメージしやすいかもしれません。自分たちが過ごしやすく感じる環境はなにかなと思うと、ジメジメしていたり太陽が直に当たる場所より、日陰の風通しがいいところがいいかなと思ったり。体が濡れたら風邪をひかないようにタオルで体を拭いたり、髪だってドライヤーで乾かしたりします。ちょっと肌がカサカサ乾燥してきたなって思ったら、保湿をしたりします。そんな風に、どうしたらいいか迷ったら、自分だったらどっちがいいか、というのを一つ想像して基準として考えてみると、そんなに無茶なことはしないかもしれませんね。
さて、ここで、実際のお手入れで、みなさんからも質問があった道具を、実際に福井さんにも聞いてみたので、ピックアップしてご紹介しますね。
<ちゃぶ台>
Q.使っているちゃぶ台がちょっと反ってしまっています。どうすればいいのでしょう?
A.ぐっと上から押しても元には戻りません。反ってしまった以上、上の表面と下側をかんなで削る必要があります。薄くはなりますが、それで真っ直ぐになります。自分ではなかなかできないので、家具屋さんで、反っている部分を削って平らにしてもらったらいいでしょう。
<カトラリー>
Q.木のカトラリーって金属のものと違って、どうお手入れしていったら良いのでしょうか?
A.使ったあとは、しっかり洗って、拭いて乾かします。洗っていくとカサカサしてくる場合は、保湿するために油を塗ってあげてもいいですね。亜麻仁油、ひまわり油、ミツロウなどを塗って仕上げてみたり、毛羽立っていたら、やすりをかけてもいいですね。
<まな板>
Q.まな板が黒ずまない工夫ってありますか?
A.前述の通り、水回りで使う道具のためどうしても濡れてしまうので黒ずんできます。だからこそ、使うときにはなるべく水気を乾燥させていてる時間を増やすことが大事です。いらない水気は取ってあげて、例えば扇風機に当ててあげたり、タオルで水気を取ったりなど。そして風通しの良いところで保管をします。また、例え黒ずんでしまっても、削り直しができるので、何年か使って、ちょっと黒ずみなどが気になったら削り直しにだすのもありです。そのためにまな板は分厚くしてあります。また、実際のところ、あくまで見た目の問題で、黒ずんでも害はありません。その上で、使うか使わないはジャッジしてもらったらいいと思います。
まな板に関して、おまけとして、あると便利な道具もあわせてご紹介いたします!
スポンジは表面だけを洗い流すものだし、普通のたわしはかたすぎて傷ついてしまう。なので、まな板を洗う際には、柔らかい棕櫚のたわしがおすすめです。洗う時に、ちゃんと切り後に届き、切り跡の中のものをかきだせるからです。まな板スタンドも、濡れないように側面が浮くようになっているタイプがおすすめだそうです。水気をとるためのフキンも常備しておくとよいですね。
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仲良くなるコツはまだまだ続くのですが、長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。次週、後編につづきます!