【鎚起銅器】#01 “職人”と出会う旅、はじまります
野菜は、産地が記載されたもの。
アクセサリーは、量産品よりも手仕事のものをーー。
いつからか、ものを買う時は「つくり手の顔が見えるもの」を選ぶことが多くなりました。
はじめまして。
「にっぽん てならい堂」編集部でフォトグラファーをしている吉田です。
突然ですが、わたしは“職人”に興味があります。
言葉としてはよく耳にするし、しかも最近では職人が減っているとも聞きますが、正直に言うと、本当のところはよくわかりません。
でも、その響きに心惹かれ、 「いつか、いろんな職人さんと会ってお話を聞いてみたい」と、思うようになりました。
その願いを形にした企画が、今回からスタートすることになりました!
題して、「職人と出会う旅」。
衣・食・住、さまざまな分野で活躍する全国のものづくりの職人を訪ね、 わたしたちが感じた土地の空気感とともに、つくり手の想いをレポートします!
第1回目は、てならい堂で年に一度ワークショップを行っている鎚起銅器の「玉川堂(ぎょくせんどう)」を訪ねました。
とは言え……
鎚起銅器。……何て読むのだろう?
ついきどうき。……どんなものなのだろう?
1回目から本当に知らない分野の職人さんを訪ねることになったようです。
さっそく調べてみると、それは何とも言えぬ存在感を放つ、素敵なフォルムの道具や器。
これが人の手で一からつくられているなんて!
どんな人が、どんな気持ちでつくっているのだろう?
はやる気持ちを抑えつつ、「玉川堂」がある新潟県燕市へと向かいました。
東京から約2時間。
上越新幹線で燕三条駅まで行き、そこからJR弥彦線へと乗り継ぎ、燕駅へ。
2両編成ののんびりとしたローカル列車が、これから出会うものへの期待をさらに高めてくれます。
燕駅からは徒歩3分ほど。初めて降り立つ町の雰囲気を味わいながら歩いていると、道路が妙に赤みがかっているのが目につきました。
聞けば、積雪時に除雪パイプで組み上げられる水に鉄分が含まれていて、それが乾燥して道路を褐色に染めているとのこと。
道路が赤い理由が、雪のせいだったなんて!
そんな風に景色を楽しんでいるうちに、目的地である「玉川堂」に到着しました。
明治末期に建てられたという趣たっぷりの日本家屋の店舗兼工房は、国の登録有形文化財に指定されているのだそう。
200年以上続く、玉川堂さんの歴史の重みを感じます。
実は、てならい堂では、ワークショップはどんなに遠くても、できるだけモノを作っている現地で開催することにこだわっているのですが、こうして実際にその土地を訪れてみると、その意味がわかる様な気がしました。
こうした土地の空気感まで感じて初めて、つくり手の顔が本当に見えるということになるのかもしれません。
少し緊張しつつ門をくぐり、さっそく奥の工房に向かいました。
次回は、玉川堂さんのモノづくりのお話です。