【座布団・風景】#03 京都で座布団に触れて考えた、綿入れ体験のようす。
座布団をつくる工程を最後まで体験したいという声に応えて、去年から手のひらサイズの「ひじ用京おざぶ」をつくる体験も加わりました。手のひらサイズ座布団、とてもかわいいでしょ?これが欲しくて参加された方もいらっしゃいました。
座布団の綿を入れた後の工程とは、綿をいれた布地の”口の部分”を隠し縫いの「絎(く)け」という技法を使って縫っていきます。その後、中心についている「綴じ」をしたあと、四隅の「角房」をつけていき座布団が完成です。
まず「絎け」の工程からはじめます。職人さんが丁寧にひと針ひと針どこを縫えばいいのか、実演をしてくれます。職人さんをぐるっと囲むようにあつまり、見逃さないようにと真剣な様子が伺えます。スマホで動画をとる方もいらっしゃいました。
はじめのうち何度か職人さんにやり方を聞きながら、しばらくするとコツを掴み真剣に黙々と針を進め静かな時間が流れていました。普段自分たちが座る座布団よりもはるかに小さいミニ座布団でも、5ミリ感覚で縫っていくのは長い道のりに…。
「絎け」が終わった方から次は中心の「綴じ」をつける工程へ。座布団の中心に印をつけ、「三方とじ」の位置を決める型をつかい、縫う位置三点に印をつけます。三点の位置が決まったら、好きな色の糸で今度は長い針に持ち替え縫っていきます。この房がつくと、一気に座布団らしさがでてきますね。
いよいよ最後の「角房」をつける工程です。「角房」を装飾として施している最近の座布団とは異なり、座布団の角から綿が抜けにくくするため、角の綿をつかむように施していきます。
座布団の角から2cm位のところに針を入れ、次に角から数mmのところに針を入れて糸を通し、座布団の角近くのところで玉結びをします。一回だけだと解けてしまうので、玉結びをもう一回。しかも2回目の玉結びは1回目の玉結びの上に被せて、きれいに玉結びが1つに見える状態にしなくてはならないのです。
この工程一見シンプルにみえますが、「難しい!」という声があがっていました。「ふう、1つ終わった。」と声が聞こえることも。角は4つあるので、あと3つです!と、心の中で応援のエールを送っていました。
こちらもみなさん黙々と進め、いよいよ「ひじ用京おざぶ」も完成です。
体験を終えて
昔は日本のどの家庭にも当たり前にあった座布団。こんなにも身近にあるものなのに、ちゃんと向き合って考えることすら、意識することも少なかったように思います。
今回体験に参加して、なぜこの形なのか、装飾がもつ意味や願いなど、人のことを考えて設計されているということを話を聞き学び、目で見て体感し、ハッとさせられる場面が数多くありました。
綿の入れ方・縫い方なども、美しさにもこだわってつくられており、座布団は日本のおもてなしの心が詰まったものの1つといえるのではないでしょうか。
自分の手で座布団に触れて学べる機会は、年に2回のみです。ぜひ次回はあなたもこの貴重な機会に一緒に座布団のことについて考えてみませんか。