1日の始まりや仕事のスイッチに、コーヒーが欠かせない方も多いと思います。

そんなコーヒーを染料にして自分で染めてみる。服にこぼしたらお手上げ、の代表格であるコーヒーは、だからこそ染色向き。ナチュラルでどこか懐かしさを感じるような染め上がりは、温かみを感じます。

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自然な風合いが特徴のコーヒー染め。飲み終わった後の抽出かすを使って染めることができます。

染め上がり後の媒染によっては、濃いコーヒー色になったり、ベージュのような薄い色になったり、ある程度好みの色に調整することもできます。当日の染色では、コーヒーの深い香りを楽しみながら染められますよ。

染め上がりの色味はさまざま。染め終えた生地を鉄やアルミなどの媒染剤(色止め・発色)に浸すことで、濃淡は自在です。

もちろんコーヒー染めでも、絞り染めや板締めで模様を付けることができます。シンプルにつまんで縛ったり、折ったり畳んだりして縛ったり、染色液に浸けない白い部分を残すことで柄をつくります。技法を駆使して、狙った通りに柄を出すのが結構難しいですが、それが面白みでもありますね。

抽出後のコーヒーかすで染めることができます。乾燥させたコーヒーかすのお持ち込みも大歓迎です!

「染め替え」とは元々、古くなったり、似合わなくなったきものや上物の色を上から染め直すことです。聞いたことがある、知ってるけど実際自分で染め替えしたことのある人は少ないのではないのでしょうか。

ひとつのものを長く着続けるための昔からある手法ですが、これは、洋服にも置き換えられます。きものの染め替えと聞くと敷居が高いけれど、リメイクするという感覚だとなんだか身近に感じますよね。

捨てるのがもったいない、今持っているものを生かしたい、染色を自分でしてみたい、とか、新しく服を買う楽しさとはまた違った喜びがあると思います。

衣服の種類としては、Tシャツ、ワンピース、帽子などの小物など、さまざまなものをお持ち込みいただけます。どのような色味になりそうか、気になるものを複数枚持ってきて、職人さんと相談して決めることもできますよ。当日、追加料金で複数枚染めることもできますので、染め上がりを想像しながら選んでみてください。

素材は、綿、レーヨン、麻、ウールなどのさまざまなものを染められます。特に綿や麻などの自然由来のものはしっかり色が出ると思います。地の色は、黒などの濃い色を避けていただければ、それぞれの表情で染まっていきますので、真っ白でなくとももちろんOKです。

そして今回は、衣服のお持ち込みだけでなく、コーヒーかすもお持ちいただければ、それを煮出して染料にしたいと思います。乾燥させたものを再利用で染めることができます。

もちろん、染めるのに十分な量は用意していますので、捨てずに貯まった分をご無理のない範囲で。

こちらはおちあいさんがコーヒー染めした豆柄の暖簾。かわいいですよね。

今回も、いつも染めのワークショップでお世話になっている「染の里おちあい」で開催します。100年間もの間この土地で着物を染め続けている染めの里おちあいは、今は地域の染め工房として場所をひらくことで、私たちに五感を通じて、染め文化を伝えてくれています。

普段、きものの染色を行う工房でコーヒー染めの体験ができるのは、とても貴重な経験ですし、”染める”ことが遠いものではなく、ちょっと近くに感じられる機会になると思います。

100年前と今とでは、「染める」という仕事は、全く違う立ち位置になってしまったのだろうと思います。けれど、「自分で染める」という経験は、そのモノがどのような思いで作られているかを知ることにつながります。そして、経験したことがある人がひとりでも増えることが、私たちの大切な染め文化を守っていく一歩でもあるように思います。

場所は、新宿区落合で100年に渡り着物の反物を染めてきた工房「染めの里おちあい」です。

場所は、新宿区落合で100年に渡り着物の反物を染めてきた工房「染の里おちあい」です。

気軽にできる染色なので、今回の体験をもとに、おうちで出るインスタントコーヒーやドリップの出がらしを使って、チャレンジしてみてください。コーヒー生活に、楽しみをもうひと匙。