自分の“ことば“を絵本にする連続ワークショップ
てならい堂初の絵本をつくるワークショップの登場です!
このワークショップでは、自分に向き合うワークを重ね、その内容を反映したオリジナル絵本を一冊つくっていきます。中身を一からつくった後は、活版印刷や手製本などの手法をプロに習いながら、自分たちの手を動かして形にしていきますよ。
半年がかりでつくるこの絵本は、今後自分が迷った時の道標やお守りのようなものになるはずです。この機会に、五感を使って、一冊の特別な本をつくってみませんか?
“あなた”のことばを絵本にします
今回は、絵本つくってみたいけど、何を書いたらいいか、全然わからない!考えたこともない!という、作家を目指しているわけではない普通の人たちに向けたワークショップです。
描きたい物語がすでにある人もいるかもしれませんが、温めてきたストーリーを絵本化する講座ではないので、ご注意ください。
この絵本の題材は、みなさん自身。そこでまず最初は、あらゆる角度からみなさんのこれまで・現在・これからについて、考えていきます。自分自身と向き合い言語化することで、さまざまなことが見えてくるものですね。(サンプルの絵本をつくるために、実際私もやってみました。)
結構時間がかかる工程ですが、同時に、とても充実した時間になること間違いなし。日頃、自分のことを振り返るいい機会となり、ここで多くの気づきが得られると思いますよ。このワークショップの根幹と言ってもいい大事なプロセスです。
そうして実際にみなさんそれぞれから湧き出てきたことばたちをもとに、一つのまとまりある文章にしていきます。
イラストもオリジナルで
中身の文章ができたら、次は、文章に添えるイラストを考えてみましょう。
イラストを描くことに苦手意識をもっている人もいるかもしれませんが、講座では、苦手な人でも描けるようなエッセンスやコツもあわせて伝授していきますので、どうぞご安心ください。丸や三角などの形を組み合わせた抽象的な表現、って手もありますし。絵を思い切り描くのもよし、挿絵をちょこっとにするでもよし、絵と文章のバランスも好きなように決められますよ。
ここまでの前半パートは、自分とじっくり向き合う時間が多く、講座内の時間だけでは終わらないため、各回の最後に宿題がでます。宿題と言ってもそこまで身構えなくても大丈夫ですので。笑
2週間ほど次の回まで時間が空きますので、生活の隙間時間に、それぞれのペースで取り組んでもらえたらと思います。
こだわりの自作絵本は、紙を選ぶところから
さて後半パートは、手を動かして、自分で絵本を形にしていきます。
せっかく自分でイチからつくりあげるのですから、本に使う紙を選ぶところから。種類に限りはありますが、紙に触って色味を確かめながら、お好みのものを選んでください。
「本文紙」については、同じ白でも色味が微妙に異なるので、その違いなども確認しながら3種類の中から、お好みのものを選んでもらえたらなと思います。
また、「見返し」「表紙」については色も異なるものをこちらも3種類用意したので、本文紙との組み合わせを考えながら決めてくださいね。
手触り感のある2つの手法を使って印刷
今回、印刷は2つの手法をとりますが、1つ目は”活版印刷”。
活版印刷ってよく聞きますが、何かと言われると難しいですよね。溶かした金属(鉛)を流し込んでつくられた金属製の「字の型」を「活字」と呼びます。その「活字」を組み合わせて、インクをつけて印字する手法のことなんですね。
今回はそのさわりとして、本の奥付の部分に活字印刷を施す体験をします。
さわりといっても、密度は濃いです。印字する活字を拾う「文選」、拾った活字を型にはめて配列する「組版」、手動式の印刷機で印刷する「テキン」までの流れを実際に体験します。
表紙と本文については、”リソグラフ印刷”という手法で印刷します。リソグラフ印刷とは、デジタルで版をつくって、インクを用紙に押し出して印刷する「デジタル孔版印刷」と呼ばれる印刷手法で、デジタルながらアナログ感ある仕上がりが人気の印刷手法。少数部数発行のZINEなどはこの手法でつくられることも多いようです。
いまやネットで注文すれば、デジタルで簡単に綺麗な印刷ができあがりますが、今回は、せっかく自分でつくる絵本ですから、自分の手も動かしてアナログを感じられるやり方で印刷したいと思って、この印刷手法をとることにしました。
手製本で一冊、こしらえる
そうして印刷し終わった紙を、今度は手製本で製本していきます。手製本とは、大量生産のための製本ではなく、職人や作家が手作業で紙の束を1冊の本に仕立てていく技術のことです。
今回のワークショップでは、手製本の中でも「一折り並綴じハードカバー」というやり方でつくっていきます。「糸かがり」という工程で針と糸を使って紙の真ん中を縫い合わせて綴じ、その上からハードカバーを糊付けしていきます。
手製本は、構造やデザインだけでもいろいろあり、糸かがりだけで何十種類もあるそうです。糸かがりの特徴は、開きやすくて丈夫、麻糸で綴じるためミシンに比べて糸が太く強度があがる、という点にあります。いいことづくめですね。
また、手製本の良さとして、量産できないような表紙のやすりがけなどで、ささやかながら仕上がりの違いを感じることもでき、手に馴染むという特徴があります。
以上の内容を、全11回の連続ワークショップで行います。てならい堂の連続もののワークショップとしては史上最長となりますが、とても密度の濃い経験になることは間違いないと思いますよ。
また、ここに参加するみなさんは、全11回という時間を共にする、いわば同志です!せっかくですので、そんな参加者同士のつながりも大事にしていただけたらなと思います。
こんな方にオススメです
本ワークショップは、絵本作家養成講座のようなものではありません。そのため、もしそのような希望がある方は、他社さんのものへ参加された方がよろしいかもしれません。
-初めてだけれども、自分で本をつくるという工程を体感してみたい人
-そこに関わるものづくりについて知りたい人
-今の自分について悩み迷っていて整理をしたい人
-自分にとにかく向き合いたい人
そんな方はぜひ、この連続ワークショップに参加していただけたらなと思います!自分の好きなことや、やりたいこと、大事にしたい本当の気持ちなどが、きっと浮かび上がってくるはずです。
物語をつくるということを通して、自分が大事にしていきたいこと、残していきたいもの、自分とは?ということに向き合い、それを形に残していく。それは、自分が今後迷った時の道標やお守りのようなものになると思いませんか。
最後に・・・
てならい堂は、「自分の判断軸をみつめる」ということを大事にしています。それは、子供の世代に何かをつないでいく時に、自分の判断軸がなければ、何をつないでいくべきかが分からなくなってしまうと思うからです。
そして、何かをつないでいくには物語が必要です。物語がないと「つながらない」と思うんです。だから物語を大事にしています。
私たちはこれまで、さまざまなつくり手の“物語”に向き合い、その物語を五感で体験する機会を作ってきました。
今回のワークショップでは初めて、みなさん自身がもつ”物語”に向き合って、実際の絵本のモノづくりを通して、それを五感で体感してもらいたいと思ってます。ピンと琴線にふれた人のご参加、お待ちしています。
※このワークショップのエッセンスを体感できる、オンラインプチ体験会を4/21(日)に行います!参加費無料。詳細はこちら。
【工程予定】 >前半Part(自分と向き合う物語づくり) 1回目:オリエンテーション(全体の流れ・自己紹介)、物語づくり 2回目:物語づくり 3回目:物語づくり 4回目:物語づくり 5回目:イラストづくり 6回目:絵コンテ作成、用紙選定
>後半Part(現場でものづくり体験) 7回目:リソグラフ印刷(表紙・本文印刷) 8回目:活版印刷(奥付印刷) 9回目:製本① 10回目:製本② 11回目:お披露目会 |
【絵本のスペック】 ・仕上がりはA5サイズ/左びらき/一折並綴じハードカバー。綴じ糸は白。 ・扉・本文14ページ・奥付の構成で、見返しと表紙がつきます。 ・表紙、見返し、本文紙はそれぞれ各3種から選択できます。 ・表紙/本文の印刷はリソグラフ印刷(3色刷り)、奥付は活版印刷(黒1色)。 ・文章と絵のバランスは各自自由に決めていただけます。 ※印刷の工程では三部刷ります。一番綺麗に刷れたものをワークショップ内で一冊製本し、余った二部は各自おうちでソフトカバーで製本していただけます。 |
【会場】
※全11回のうち、7〜10回目以外は「てならい堂 神楽坂ストア」での開催となります。それ以外の開催場所に関しては、上記「詳細をみる」ボタンよりご確認ください。
てならい堂 神楽坂ストア
東京都新宿区矢来町118 千種ビル 2F
(神楽坂通り沿い、1Fが【BAR&CAFFE M’S】さんになります。)
東西線 神楽坂駅 より徒歩1分
都営大江戸線 牛込神楽坂駅 より徒歩7分
【日時】2024年5月〜11月
※2時間半〜3時間程度の体験です。作業時間等により前後します。
<全11回コース>
1回目:5月19日(日)10時〜
2回目:6月9日(日)10時〜
3回目:6月30日(日)10時〜
4回目:7月21日(日)10時〜
5回目:8月4日(日)10時〜
6回目:8月18日(日)10時〜
7回目:※8月31日(日)〜9月29日(日)の土日いずれかの中で調整いたします。
8回目:10月6日(日)10時〜
9回目:10月20日(日)①10時〜/②14時〜 ※いずれか
10回目:11月10日(日)①10時〜/②14時〜 ※いずれか
11回目:11月17日(日)10時〜
【講師紹介】
■イラスト制作指導:
清水紗彩
埼玉県出身・東京都在住。東京学芸大学美術専攻卒業。デザイン事務所などの勤務を経て、イラストレーター・グラフィックデザイナーとして活動。主な実績は書籍挿絵やイベントフライヤーの制作・大学非常勤講師など。てならい堂で配布している「続く森のはなし」の挿絵を担当。
■活版印刷:
(株)築地活字代表取締役・平工希一
1919年創業、100年以上の歴史を紡ぐ活字鋳造会社。約25万に及ぶ母型を保有し、6pt~21pまで活字を鋳造できる日本国内でも数少ない活字鋳造技術を継承。本業の他に、活版印刷をエンターテインメントにする「活版活字プロジェクト 字心」の活動も行っている。
■手製本:
空想製本屋・本間あずさ
東京とスイスで製本工芸、手製本を学び、「本と人とを繋ぐ」製本家として活動。2018年より東京都小金井市にアトリエを構え、少部数の受注製本、製本教室、作品制作などをおこなう。
■物語づくり指導:
中村真一郎
合同会社続()代表・にっぽん てならい堂店主・コピーライター・物語ライター。
てならい堂オープン以来、つくり手の物語を聞いて、これまで2000件以上のワークショップを企画。並行して、組織の物語をまとめたり、ブランドのネーミングに携わる。
自社の物語として、「続く森の話」を作成。