★今回日程が合わない方で、次回開催のお知らせを希望の方はこちら

★締切リマインダー登録

江戸の香りが感じられる街、神楽坂。夏休みの特別企画として、てならい堂(ひみつの小店)にて夏の紙漉きワークショップを開催します。

和紙の原料になる楮(コウゾ)を使った「オリジナル絵ハガキ」と「うちわ」を作ってみませんか。漉いた紙はぜひ、大切な人へのお手紙として送ってください。うちわの方はおうちで暑い夏を満喫するのにぜひ使ってくださいね。もちろん贈り物としてもおすすめです。

植物の匂いを嗅ぎ、水の冷たさに触れて、紙を漉く音に耳を傾ける。。。五感を満たす紙漉き体験でちょっと小粋な夏休みはいかがでしょうか。

各回4名限定。夏休み特別企画なので、親子割引もありますよ。

img_2995

皆さんは、「紙漉き」と言われて何かイメージが湧きますか?私の周りでは、「小学生の頃に学校で牛乳パックでハガキを作ったよー」という人もいました。それがまさに紙漉きですね。

けれど、牛乳パックに使われている木材パルプは、近代になって使われた材料です。昔の日本では楮(コウゾ)、三椏(ミツマタ)、雁皮(ガンピ)などの植物繊維で紙を作っていました。植物が紙となりますので和紙作りは「植物の栽培」から始まるんです。

img_3107

色の組み合わせによりそれぞれ雰囲気の違う絵ハガキが作れますよ

今回の体験では、昔から和紙作りに一番使われている楮を植物の状態から、どのように紙になるのかの過程をしっかりと確認してもらおうと思います。

植物としての楮の匂い、水に手が触れる感覚、漉く時の音、染められた紙の色味、乾燥した紙のテクスチャーなど五感をたっぷり使って紙を漉いてみましょう。

そして、せっかく漉いた紙をちゃんと生活で使ってもらえるように、「オリジナル絵ハガキ4枚」と「うちわ1本(分の紙)」を作ります。

楮をメインとしますが、ハガキとしての強度を上げるためには、木材パルプも混ぜて漉いてみましょう。

さらには、その上にご自由に色紙のパルプ(染められた楮繊維)をかけたり注いだりして、絵を書きます。ここで使う色紙のパルプは当日皆さんに染めてもらいます。

e1291390-eb19-472a-842c-5870d35750dc

もちろん描くものは具体的な絵でも、パータンのようなものでも大丈夫ですよ。

糸、布、植物(花弁や葉など)、漉き返したい紙など、一緒に漉き込みたい素材をご自身でお持ちいただければそれを使って和紙を作ることもできますので、ぜひ!

漉いた紙は、木の板の上で乾燥に1日かかります。その後、翌日の引き取りもしくは郵送でのお渡しとなりますので、うちわに貼り付ける作業はおうちでやってくださいね。(やり方は当日お伝えしておきますね。)

好奇心にしたがって紙漉きでできることを色々と試してみてください。

講師は、私、てならい堂スタッフのリムが務めさせていただきます!

実は私、紙を自分で作ることができるということを知ってから、美大の博士課程に通いながら庭で楮を育てて、毎日紙作りに取り組んでいます。

歴史のある紙漉きの産地から教わった紙漉き技術を活かしつつ、オリジナル手法で紙の作品を作っています。

私の庭にある楮。夏になり、成長がとても早いです。

楮は成長の速度が速く、一つの木から毎年ある程度の原料を収穫することができます。(とはいえ、外側の皮を剥いだ「白皮」と呼ばれる部分でしか紙が漉けないため、原木重量に対しわずか5%くらいだそうです。)

楮の刈り取りは12月から1月頃で、その時期に切った枝を同じ長さで揃え、蒸し上げます。その後白皮だけを取る「皮剥ぎ」をし、とれた白皮だけを煮て、不純物を取り除いた楮の繊維を叩いたら、やっと紙を漉ける状態になります。

叩いた楮の繊維と、均一に水の中に広げさせ、簀の上での水の引き方を調節して、繊維をよく絡ませるという、大事な役割をする「ネリ」を水によく混ぜ、簾桁(すだれけた)でその水から楮の繊維を漉きあげ、乾かすと和紙が出来上がります。

このように、楮が育ってから和紙になるまで、多くの時間がかかります。そもそも和紙自体も長い歴史を持っています。

私は原料(楮の繊維)を漉いて紙を作るだけではなく、もともと紙だったものを再び「漉き返す」こともあります。

韓国で漉かれた紙(韓国にはハンジ(韓紙)と呼ばれる伝統紙があります)や古本屋で見つけた昔の人の手紙などを今漉き返す時に、まるで過去の時間と場所が今私がいるところに蘇るように感じます。だから紙は色々な時代や人の思い出が流れ込む一つの場所として捉えられるのではないでしょうか。・・・なんてことを思いながら、私は毎日紙づくりに取り組んでいます。もしよかったら、私の時間と紙の話にも、耳を傾けてくれたら嬉しいです。

img_3262

高知県での紙漉き研修で作った和紙です。楮、雁皮、三椏を使って漉きましたが、それぞれ特徴や触感が違うのでその見比べもとても興味深いですよ。

img_2974

濡れた状態はわりと鮮明な色に見えますが、乾かすと少し落ち着いた色に変わります。「乾かすとどの色になるのだろう」と、その予想がつかないところがまた面白いのです!

ご自由に3色ほど使ってパターンのような絵を書いても良し!
季節の大好物を描いてみても良し!

染めた紙を使ってオリジナルうちわを作ってみましょう。
もちろん一色でもいいですよ!

uni

紙は原料が絡んで一層に結合された状態なので、光に当ててみるとこのように素敵な姿が見れますよ。一つの宇宙みたいな感じです。

私が感じた紙の魅力、温かさを皆さんと共有したいと思って、今回紙漉き体験を企画させてもらいました。

私は大切な人に伝いたいことがあるときは、一番好きな紙を選んで手紙を書きます。鉛筆で書き込んだこころが紙に込められ、その人に届くと思います。相手にお手紙が届くまでの時間を待つことも手紙がくれる喜びの一つでもありますね。

今回作った絵ハガキとうちわに季節の言葉を使って誰かに送ってみてはいかがでしょうか。

それではひみつの小店で、みなさんのご参加をお待ちしてます! 

img_8222  

作り手

リム(イ・ヘリム)

韓国ソウル生まれ。神奈川県在住。
にっぽん てならい堂スタッフ
現在、多摩美術大学・美術専攻・博士後期課程に在学中。
紙に魅了され自分で漉いた紙を用い、「時間」をテーマとする紙作品を制作している。
作品情報