自生している「つづら藤かずら」を採取して編み立てて、自分の手でかごを作ってみませんか。

オリジナルのかごを作るために素材のつづら藤かずらを採取するところから編立てまでを、一日で体験できる貴重なワークショップです。

ただ編むだけじゃなくて、材料を採るところからですので、今回は福岡県香春町(かわらまち)現地での開催。九州の方はもちろん、他の地域からも春の旅行がてらどうですか。

山に入って、つづら藤かずらを採取するところからです。

山に入って、つづら藤かずらを採取するところからです。

教えてくれるのは20年以上かごを編み続けている、福岡・香春町の「かずら工房 あかつき」の矢野文子さんです。今回は、てならい堂主催の特別ワークショップとして、素材のつづら藤かずらの採取から編み立てまでのワークショップを開催します。

当日は、まず工房に集まり、車で素材の採取に向かいます。素材を採取するところからって、なかなかできない体験ですよね。採取後は工房に戻りお昼休憩の後、かご作りを行うお昼を含めてトータル7時間30分と一日がかり。てならい堂でも史上稀にみるストイックなワークショップになっています。笑

皆さんに作ってもらう「つづら藤かずらのかご」。一日がかりで作り上げたかごですから、愛着がわかないはずはありませんし、自然素材のものなので使うほどにもっともっと愛おしくなると思いますよ。

ワークショップの流れ

当日の流れを見ていきましょう。まずは、実際に山からつるを取ってくるところから。

自生しているので、使う分だけ山からいただきます。矢野さんに収穫の見極め方を教えてもらいながら、かご編みに適したものだけを必要な分だけ採ります。

かご編みに使える素材は、冬の寒い時期に採ったものしか使えないそうで、今回の開催がシーズン最後になりそうとのこと。それ以外の時期に採ってもかご編みに適した素材にはならないようで、自然や素材と向き合う目が養われますね。

かごを編むためには乾燥をさせてから使用します。収穫したばかりのかずらは緑色ですが、乾燥をさせると次第に色も茶色へと変わっていきます。

かごを編むためには乾燥をさせてから使用します。収穫したばかりのかずらは緑色ですが、乾燥をさせると次第に色も茶色へと変わっていきます。

収穫後のつづら藤をつるして乾燥させているところ。

収穫後のつづら藤をつるして乾燥させているところ。

今回のワークショップは、一日でかずら工芸の収穫から編たてまでを体験しますので、乾燥時間はショートカット。新しい材料を採ってくる代わりに、既に乾燥してくれている材料を使わせてもらって、午後からは、編立てをしてかごを作っていきます。

編み立てる様子 かごの底となる部分を編んでいきます。

編み立てる様子 かごの底となる部分を編んでいきます。

底ができたら、立ち上げて全体を編みこんでいきます。

底ができたら、立ち上げて全体を編みこんでいきます。


下から上につるを編みこんで、 最後は縁を巻いて処理していきます。

下から上につるを編みこんで、
最後は縁を巻いて処理していきます。

ついに完成!

ついに完成!


つるは自然のものですので、太さや長さもそれぞれ。完成させたいかごをイメージしながら、素材と向き合い編んでいきます。かご編みは、初めて!という方でも、心配いりません。

写真のざるかごまでの作成で 1時間〜2時間の制作時間の想定。

写真のざるかごまでの作成で
1時間〜2時間の制作時間の想定。

立ち上げて持ち手をつけるかごまでの作成で +1時間〜2時間の想定です。

立ち上げて持ち手をつけるかごまでの作成で
+1時間〜2時間の想定です。


編んでいくうちに慣れていきますので、早い人であれば、2時間もかからずにかごを完成させる方もいらっしゃいます。早く終わった方は、トレーを作ってもよし、花立てを作ってもよし。想像力を掻き立てて楽しんでかごを編んでみましょう!

上級者はこんなかたちも。今はまだ夢の世界ですね。

上級者はこんなかたちも。今はまだ夢の世界ですね。

つくり手『かずら工房 あかつき』の矢野さんについて

講師の矢野さん。〇〇な方です。

講師の矢野さん。とても人情深い方です。

今回の講師をお願いする『かずら工房 あかつき』の矢野さん。もともと山下町でお酒の卸売業をされていた矢野さんですが、2004年頃、嵐の後に山から流れてくる屑かずらの束を見て、何かに利用できないものかと思い自宅倉庫に持ち帰りました。

引っ張りや曲げに強く、しなやかなかずらの特性を利用して編みかごを作ってみたところ、作品を見た旦那様が大変喜び褒めてくれて、それがきっかけで20年かごを編んでらっしゃいます。

そこに在る材料から自分の”手”で何かを産み出せる。そういうつくり手たちを素直にすごいと思ってしまうのですが、けれども矢野さんは、それを自分だけの力とせず、広く多くの人に伝えてらっしゃいます。

矢野さんの活動は口コミで広がり、地域のイベントとしてかずら工芸教室を開催するくらいに発展し、今は毎月生徒さんが教室に訪れているそうです。

工房には、多くの個性的かつ温かみのある作品があふれています。そんな矢野さんも今に至るまでは試行錯誤の連続であったといいます。そんな試行錯誤の歴史についても、一緒に手を動かしながら、話を聞いてみたいですね。

過去のワークショップの様子。素人でもこんなに編めるものなのですね。

過去のワークショップの様子。素人でもこんなに編めるものなのですね。

矢野さんとの出会いは、福岡へ赴いた際に偶然手に取った、香春町の魅力を発信する冊子の創刊号に、矢野さんの工房が紹介されていたのがきっかけでした。

てならい堂スタッフは、表紙になっている講師の矢野さんの力強くも優しい手の表情に目を奪われました。そして、冊子を開くとそこにはこう書かれていました。

「先生とかじゃなくて、一緒になってああやないこうやないて、言い合うのがいいんじゃない。それで楽しくって輪ができていく」

矢野さんが作られたかずらのかご編みもさることながら、工房の雰囲気や矢野さん自身に魅力を感じ、居ても立っても居られず、急遽予定を変更し車を走らせ工房にお邪魔してしまったのでした。

手仕事はつくり手だけのものじゃない、みんな手を使えば何かを生み出せる。そんなことを教えてくれてる気がして、けれどそんなことを教えてくれる人は、やっぱり先生だな。笑

どうですか。手の力にぐっと引き込まれそうでしょ。

どうですか。手の力にぐっと引き込まれそうでしょ。

福岡・香春でお待ちしてます。

今回は、講師の矢野さんをはじめ、普段教室開催を手伝っていただいている古くからのご友人の皆さん、元香春町地域協力隊の小野沢さんご協力の上開催します。

多くの人の協力があって開催できる貴重な機会ですので、福岡市・北九州の方だけでなく、大阪や東京からも是非参加してもらいたいなと思ってます。もちろんてならい堂スタッフも東京から赴きお世話係をしますが、純粋に楽しみです。

工房のある香春町(かわらまち)は、福岡市から車で約70分、北九州・小倉駅から車で約50分の位置にあります。かつて宿場町として栄え、今なお情緒溢れる街並みを残しています。

そんな街並みから感じること、あるいは材料を分けてもらう山の風景から感じること。自分の街の近くで手軽に体験することとは違う、わざわざその場に行くからこそ「いただけるもの」ってたくさんあると思うんです。

お金を払えば、何でも揃ってしまう時代。だからこそ、先人の生きた技術や知識を間近に体験できる機会は貴重です。ぜひまず私たちが体験して、そしてまた、一緒に次の世代に伝えていきませんか。

溢れる昭和感(笑)、けれど、2021年の雑誌ですからね。笑笑。大切なものは残ってるってことですね。

溢れる昭和感(笑)、けれど、2021年の雑誌ですからね。笑笑。大切なものは残ってるってことですね。