子どもにつなぐ座布団。京都のマイ座布団綿入れ体験。《2020年春の会》
座布団って、わたを詰めて作られるんですよね。
そしてわたは潰れ、徐々に減ってきますが、この中のわたを足したり、ほぐしたりして再度ふっくらさせることを「打ち直す」と言います。
かつては、多くのおうちで布団や座布団の打ち直しがなされていましたが、今では家庭でそうした打ち直しの作業を見ることは、とても稀なことだと思います。
座布団にわたを詰めるという行為を通じて、使い捨てではなく、使い続けることができること、いや、使い続けることが当たり前であったということを、私たちは実体験として、思い出すことができるのだと思います。
そしてその体験があるからこそ、子どもの世代に伝えていけるのではないでしょうか。
京都で洛中高岡屋さんと一緒に年2回開催している、座布団のことを知るために、自分で座布団を作ってみる機会。座布団に自分でわたを詰めてみるという体験を通じて、気づくことはたくさんあると思いますよ。
座布団はうちには無いよー、という方も増えていると思います。
てならい堂が知りたいのは、その道具の意味、そして何を考えて作られているかということです。
座布団はわたを詰めて作られますが、その良し悪しは、詰めた最初の段階ではなくて、座って潰れた後にバランスが良く座り易い座布団こそが良い座布団だとして、職人はその座り心地のために技を競っています。
つくり手が座り心地を考えてくれているということに、私たちは、普段なかなか気づくことはできません。
ワークショップでは、その座布団のわた入れをやってみます。これが難しいんです。
選べる座布団の生地は厳選した13種類から。今回はダイニングチェアやスツールの上にも敷ける、40㎝角もしくはφ40㎝(円形)の座布団を作ります。少し小さめなのがかわいいですよね。
生地は日本の伝統色を使ったシンプルな柄とテキスタイルデザイナー・安原ちひろさんによるファブリック3柄からお好きなものを選んでください。
さらにオプションとして、同じ色柄の座布団を、高岡屋の職人に仕立てもらうことができます。自分が作ったものとプロが作ったものの違いは、私たち自身もびっくりするくらい分かっちゃいます。笑
その違いを知ることで、両方の座布団にあなた自身の価値や愛着を見つけて欲しいと思います。
ワタ入れを終えた後は、「絎(く)け」と呼ばれる、ワタ入れ口の手縫いの工程もご自身でやってもらいます。これまた実際にはなかなか大変な作業。和裁の心得があっても簡単ではないようです。(どうしても苦手な人は、、、職人さんが助けてくれるかも?)
「絎け」が終わると、中心の「綴じ」をつける工程へ。この三方綴じは京座布団ならではなのですが、ぐっと座布団らしい可愛らしさが出てきます。こうして見事、マイ座布団は完成です。
このワークショップ、東京で開催して欲しいという声も頂きますが、京都であることに意味があると思っています。
実は座布団屋さんというのは新しい商売です。かつて座布団は、どこの町でもある布団屋さんで、布団と一緒に作られているものでした。しかし、布団の需要減などの理由で、町の布団屋さんは姿を消していきます。
高岡屋さんも元々は布団の製造をしていましたが、需要が減る中である時、商売を座布団一本に絞りました。その判断は、お寺や旅館など座布団をたくさん使う、おもてなしの文化が多く残る京都という土地ならではの判断だったのでしょう。
そして京都は職人の街でもあります。初めて高岡屋さんを訪れた時、こんなところで作ってるんだと、つくり手とつかい手の距離感に驚きました。普段観光ではなかなかみられない、京都の裏側を覗けることも、この体験の醍醐味です。
私たちの生活から消えつつある道具は、少なくないです。私たちの生活に合わせて、消えてゆくものがあるのは当然のことだと思います。
一方で、それに取って代わる新しい道具の便利さを享受する中で、私たちが失っているものも、あるのかもしれません。
今の生活に必要なのか、必要ないのか。誰かに任せず、きちんと知った上で、私たち生活者が自分で判断すること。それは、道具や生活を前の世代から受け継ぎ、次の世代につなぐ私たちの責任であるように思います。
こんな話を聞いたことがあります。
西洋の椅子と日本の座布団を比べたときに、椅子はどんどん座りやすく進化しているのに、座布団は江戸時代のまま、四角いまま床にべたーっと置かれているだけで、ちーっとも座りやすくならない、と。
確かに座布団を使って床に座ると、足は痺れてくるし、痛くなってくる。けれどその痛みは、体がこの体勢はきついよと、教えてくれているものです。その一方で、椅子に座ることがは楽ではありますが、それにより身体感覚を弱めてしまっている面はないのでしょうか。
「道具の進化」と「五感の退化」。私たちはその関係性に薄々気づいています。
もちろん、私たちは禅僧を目指すわけでは無いですし、椅子に座って仕事をして、家ではリラックスしたいです。
てならい堂店主の家には、数年前に自分で作った座布団が一枚あります。
ふと何気無く、ソファをおりて、床に座布団を敷いて座り、飲み物を飲んで、本を読みます。なぜわざわざ座布団に座るの?と聞かれても困るくらいに何気無く、たまに座布団に座っている自分に気付きます。
足の位置を感じ、背筋を感じて、座る位置を直すとき、自分の体はいつもより身近にあります。ただ、そこに座る。座布団とは、とてもシンプルな道具ですね。
思い返せば、店主の実家には座布団があり、店主自身、子供の頃はそこに座る機会がたくさんありました。だから、無意識のうちにわざわざ座布団を敷いて座っているのかもしれません。
座布団の意味を次の世代につなぐのかどうか、それは是非、あなたも現場で自分の五感を使って体験して決めてもらいたいと思います。
場所 : | 洛中高岡屋工房 〒600-8331京都市下京区五条通油小路東入ル金東横町242 |
日時 : | 2020年3月15日(日)13時~15時 (12時45分~受付開始) |
内容 : |
座布団がきっとかわいくなる。京都のマイ座布団綿入れ体験。 |
持ち物: | スリッパ、マスク、エプロン(ワタが洋服に付きますので、それを防ぐためです。エプロンが無い場合は、付きにくい洋服でお越し下さい。ワタを取るブラシは会場に用意しております) |
定員: | 10名 |
生地の色柄について: | ページ下部のサンプルをご参考に、座布団生地の色柄を選んでお申込時に記載ください。 ※座布団の色柄は13種となります。 |
完成品配送/引き取り: | 完成した座布団(もしくは職人仕立ての座布団)の発送をご希望の方は、別途送料500円(税抜)を頂戴します。お申込み時に「配送あり」を選択してください。完成後そのままお持ち帰り、もしくは高岡屋さんでのお引き取りを希望される場合は「配送なし」を選択してください。 |
座布団の追加について: | ワークショップでお作りいただく座布団は、四角形もしくは丸形の1枚となります。 2枚目以降(職人仕立て)をご希望の方は、サイトよりお申込みください。お作りいただく座布団と同じ生地で職人が仕立て、できあがった座布団と一緒に配送いたします。 木綿むら染め生地》四角形:4,500円/丸形:5,000円(共に税抜) 安原さんの生地》四角形:7,000円/丸形:7,500円(共に税抜)※本ワークショップでの、特別限定価格です。 |
その他注意事項:
※作るのは、四角形(40*40cm)もしくは丸形(φ40㎝)の座布団をひとつです。ワタ入れを体験していただいた後、ワタ入れ口を縫製(絎け)し、綴じ糸を施して完成となります。(角房はつきません)
※発送をご希望の方は別途送料500円(税抜)を頂戴します。お申込み時に「配送あり」を選択してください。完成後に再度工房へお越しいただいてのお引取りも可能です。その場合は「配送なし」を選択してください。
生地種類:
座布団は下記の13柄からお選びください。